マレーシアのアンワル首相は、クアラルンプール市内で開かれたイベントの講演で、半導体産業の発展を目指す新たな国家戦略を発表しました。
今後のマレーシア半導体産業の国際的な競争力を高めるために、先端分野などに裾野を広げる戦略です。
マレーシアは1972年にアメリカ・Intel社が進出して以降、半導体産業において約50年にわたりアセンブリやテストといった後工程を担ってきました。現在、世界の半導体パッケージングやアセンブリ、テスト市場の13%を占めています。
マレーシア政府は、より付加価値の高い設計業務への移行を進めています。IntelやInfineonなどの欧米企業や中国企業も続々と進出しており、マレーシアの半導体産業は新たな成長段階に入っていると見られます。
マレーシア政府は、日本円で約8,300億円(250億リンギ)を投じ、海外メーカーの投資誘致や人材育成、中小企業の支援を強化しようと勧めています。付加価値の高い工程を重点的に伸ばすために、3段階で実施する計画です。
第1段階では半導体産業の既存能力を活かし、OSATの近代化支援や先端パッケージングへの移行を推進。
第2段階では国内の回路設計や先端パッケージング、半導体関連企業の育成、第3段階では世界レベルの国内メーカーを育成します。
最終的には、アメリカのアップルや中国のファーウェイ、レノボといった先端企業向けの製品の製造を目指す計画で、多国籍企業や教育機関とも連携して、高度技術者の育成も行っているとのことです。
米国が中国の半導体産業を規制する中で、マレーシアは国際的なIC設計や製造ハブとしての地位確立を目指すために、着々と準備を進めています。
2024年4月22日には、セランゴール州プチョン市に半導体設計拠点を設立する計画を発表しました。すでにアーム・ホールディングスやファイソン・エレクトロニクス、スカイチップ、深セン半導体産業協会の参画が決定しており、完成すれば東南アジア最大規模のIC設計拠点となる見通しです。
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