2023年4月に経済産業省から半導体製造装置について、新たに23品目が輸出管理対象として指定されることが発表されました。管理対象となる地域は全地域となっており、西村経済産業大臣は特定の国の影響などを念頭にしたものではないとしつつも、アメリカからの対中輸出規制などの影響もあるのではないかと考える人も少なくないようです。
変動する国際情勢の中で各国の安全保障環境の厳正化が注目される中、半導体製造装置が軍事転用されることを防止することが狙いとされています。
管理対象として指定された製品には、例えば回路線幅14ナノメートル以下のロジック半導体の製造装置などが追加されています。
洗浄装置や成膜装置、熱処理装置、また露光装置など様々な過程・工程をカバーする各種製品が管理対象となっており、装置の仕様に関して同月29日までパブリックコメントを募集した上で7月の施行を予定しているといったスケジュールです。
1世代前の極端紫外線(EUV)に関する「ArF液浸露光装置」も対象として追加されている中、アメリカや韓国、台湾といった42カ国及び地域については輸出条件の手続きを簡素化できる「包括許可」が適用されます。一方、中国など特定の国については適切な手続きを経なければ輸出を行えない「個別許可」が必要になっていることもポイントです。
経済産業省の見解として、新しい輸出管理対象指定は高性能半導体の製造及び製造装置に関するものとなっており、日本国内の半導体メーカーに対する影響は限定的だと報道されています。
また、西村経産相は半導体が軍事目的で利用された場合に、国際社会の平和や安全維持にとって大きなリスクになると懸念しており、製造装置について技術保有国として知られる日本だからこそ国際社会における責任を果たしていくことが重要とコメントしています。
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