微細化とは半導体デバイスの、特に信号の増幅やスイッチングに使う「トランジスタ」の素子の大きさを微細に加工することです。微細化は、半導体メーカーにとって価格と性能を改善する上で重要となるもので、微細化競争が行われており、年々加速しています。
半導体を微細化すれば、同じチップ面積に多くのトランジスタを乗せられるようになります。つまり、電子機器の高機能化ができるようになります。
また、トランジスタのオン・オフを切り替えるスイッチの「ゲート長」を短くできれば、電気の移動が少なくなるため高速化に繋がります。これは、微細化によって低電圧で動作できるようになるのも理由のひとつで、オン・オフの切り替え時の電圧差が小さくなり、高速でスイッチできるようになるからです。
よって微細化は省電力化にも効果的で、必要な電力を減らせる効果も期待できます。電力の消費はCPUの発熱にも影響するため、微細化が実現すれば動作時間の延長も実現できます。
微細化は、高性能化や高速化、省電力効果がある一方で、配線抵抗の増大も生み出します。
微細化によって、確かに電子の移動距離は短くなりますが、配線の幅が小さくなるため、電気抵抗は増えてしまうのです。抵抗が増えることによって、逆に消費電力の増大や発熱に繋がる恐れもあります。そのため、配線素材を変更するなど抵抗を下げる対策が必要です。
また、「漏れ電流(リーク電流)」についても注意しなくてはなりません。微細化でトランジスタが小さくなり過ぎると、スイッチングが上手くできず、電流を完全に塞ぎ止めることができません。トランジスタをオフに切り替えても電流が出てしまうのです。
漏れ電流を防ぐための対策として、「3次元トランジスタ」や「High-K素材」を使った技術での対応が求められます。
2022年に開催されたVLSIシンポジウム(半導体デバイス・プロセス技術と半導体回路技術に関する最先端の研究開発成果を披露する国際学会)で、オランダの半導体製造装置メーカーのASMLは、半導体の微細化は2035年まで続くことを示しました。
これは、ASMLが2023年から本格的に開発を始める次世代EUV(極端紫外線)露光装置「High NA」によるもので、計画通りに実用化されれば半導体の微細化は2035年まで続くと見られています。
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