【量産目的】
露光装置のおすすめ5選
【研究/開発】
露光装置のおすすめ3選
露光装置 PERFECT GUIDE » 今さら聞けない露光装置の基礎知識 » 半導体不足が自動車業界に与える影響

半導体不足が自動車業界に与える影響

自動車にはどのような半導体が使われている?

半導体技術の進歩とともに、自動車は安全性や快適性、環境性などの性能を飛躍的に向上させてきました。

カーオーディオやナビゲーションなどの情報機器には車載情報用の半導体が、電動ミラーやダッシュボード、電動座席、エアバッグのセンサーなどには車体制御用の半導体が搭載されています。

また、エンジンやブレーキなど車の駆動を制御したりハイブリッドや電気自動車のモータを制御したりするのにも半導体が使われます。

特に、高級車には多くの半導体が使われており、マイクロコントローラが100以上も搭載されています。

運転支援システムや自動走行のために位置情報や速度を測る機能など、運転をより快適にするために欠かせない存在です。

今や、車のあらゆる部分が半導体によってコントロールされているといっても過言ではないでしょう。

走行システムの電動化や運転支援システムなど、半導体を使った新たな技術開発はEV(電気自動車)の普及も加速させており、自動車向けの半導体はさらに増えていくと考えられます。

半導体不足は自動車業界にどのような影響を及ぼすか

生産計画の引き下げを余儀なくされた

長期化する半導体不足によって、自動車業界では生産計画に大きな影響を与えています。

トヨタは自動車をはじめ、国内の自動車メーカーでは生産計画を下方修正する事態となりました。

半導体不足は依然として深刻で、スマートキーに使われる半導体すら不足しているとのこと。一部の車種では、新車納入時に渡すスマートキーを1個に減らし、後から納品するといった対応を取らざるを得ない状況になっています。

新車よりも中古車のほうが高くなった

半導体不足で新車生産が厳しくなっていることを受け、自動車業界では中古車市場にも影響が出ています。

一部の人気車種では、新車を注文しても納期が6カ月以上かかることから、新車よりも中古車の価格が高くなるといった異例の事態になっているのです。

自動車業界がここまで半導体不足の影響を受けているのは、一般的な電子機器に使われる「大量生産の半導体」とは異なる型式の古い半導体や「自動車制御専用」の半導体が使われていることが起因していると言われています。

半導体不足が生じた理由

世界的な半導体不足が生じたのには、以下のような理由が挙げられます。

半導体の需要拡大

半導体不足が深刻化したのは、通信システムの5G移行や企業のDX化の推進、テレビや洗濯機などの家電製品など、身のまわりの機器のIoT化が進められた背景があります。

自動車業界においてもEVの普及によって自動運転の技術開発が進んでおり、さらなる半導体が求められるようになるでしょう。

自動車業界全体の生産量は増えなくても、使われる半導体の数が増えることによって、半導体そのものの需要が高まることになるのです。

世界的な感染症の流行

世界的に流行した感染症の影響も、半導体不足に拍車をかけたと言われています。外出制限がされたことで自動車の販売数は減りましたが、一方で人々が家の中で過ごす時間が増えました。IoT機器や在宅でのリモートワークによるパソコンなどの電子機器の需要が高まり、半導体を使った製品の需要に偏りが起きたのです。

半導体製造メーカーは、これまで自動車向けに確保していた半導体製造ラインを、電子機器向けの半導体を作るラインに切り替えて対応しました。

感染症の流行が落ち着いて車の需要は回復したものの、今度は自動車用の半導体製造の体制が追いつかずに結果として半導体不足に陥ってしまいました。

アメリカの半導体に関する輸出規制

アメリカはトランプ政権以降、安全保障上の理由から、中国に対して半導体の輸出規制を行っています。半導体は自動車やパソコンなどの電子機器だけでなく、戦闘機やミサイルの制御システムにも使われるからです。

バイデン政権になってからは規制対象となる半導体の種類や用途を拡大し、より厳格に規制しています。

さらには日本やオランダもアメリカの規制に追随したことから、世界規模で半導体の供給バランスが崩れてきている状況です。

半導体工場が稼働できない状態になった

寒波や火災など、災害による影響を受けて半導体工場が稼働できない状況が世界規模で起こっています。アメリカのテキサス州では大寒波が発生し、停電によって半導体工場が稼働を停止せざるを得ない事態となりました。

日本国内では、半導体製造工場で2件の火災が発生。しかも、日本の工場は自動車向けの半導体を製造する工場だったことから、自動車業界の半導体不足にさらなる追い打ちをかけてしまいました。

半導体不足はいつ解消される?

自動車業界の半導体不足は最悪期を脱したとの見方もされており、2023年以降は生産計画を上方修正する自動車メーカーも現れました。

しかし、トヨタ自動車をはじめ、自動車メーカーの多くは、部品在庫を抱えずに必要な時に必要な部材だけを調達するジャスト・イン・タイム方式を採用しています。今後もしばらくは、半導体を使った部品不足による生産の遅れが続くと懸念されています。

ただ、世界的な半導体不足の解消と需要増大に向けた安定供給に向けて、半導体業界も動き出しています。

台湾の大手半導体製造メーカーであるTSMCは、アメリカ・アリゾナ州と熊本県菊陽町で新工場の建設を進めており、計画通りにいけば2024年末には新工場が稼働する予定です。

また、日本政府は、日本が世界の半導体市場のシェアを取り戻すために、日本の大手企業8社と共同出資して半導体メーカー「Rapidus(ラピダス)」を設立しました。

これらによって半導体の増産体制が整備されれば、2025年には半導体不足が解消すると見られています。

露光装置パーフェクトガイド

半導体のシリコン基板(ウエハ)などのセンサ・電⼦回路を集約する微⼩電気機械システム(MEMS)をはじめ、⾼精度の電⼦機器の製造⼯程で⽋かせない存在となっている露光装置。量産⽬的、研究開発⽬的に分けておすすめの露光装置を紹介します。