沖縄科学技術大学院大学(OIST、以下:沖縄科技大)物理工学の新竹積教授は、先端半導体の製造におけるEUV露光装置の大幅な省エネやコスト削減を図る技術を開発しました。
この技術を用いると、EUV露光装置に使用する反射鏡を従来の10枚から4枚に減らし、消費電力も1/10に抑えられるとして注目されています。
先端半導体とは、パソコンのメモリやスマートフォン、ゲーム機など、身のまわりにあるデジタル機器の頭脳として働く小型のチップです。
先端半導体は高密度の論理回路をシリコンウエハ上に書き込む必要があり、その書き込みにEUV露光装置が使われます。
先端半導体を製造するためには、EUV露光装置が必要です。EUV露光装置とは、光源から出た波長の短い光を鏡(ミラー)で反射させながら、プロジェクターで回路パターンを転写する革新的な装置です。ただ、このEUV露光装置の量産はオランダのASML社だけが唯一成功しており、独占販売の状態が続いています。
現在、EUV露光装置には10枚のミラーが使われていますが、沖縄科技大が開発した今回の技術を応用すれば、従来よりも少ない4枚のミラーで済み、消費電力も大幅に抑えられると分かりました。
新技術の実用化が進めば、先端半導体の製造分野で日本勢が巻き返す可能性もあるとして期待が高まっています。
現在、2024年のEUV露光装置の市場は1兆3,000億円ですが、6年後の2030年には2兆5,000億円にまで成長すると予想されています。
今回の沖縄科技大の成果はすでに特許の出願が終了しているとのことです。特許を取得できれば、今後数年で現在の1社独占状態の市場を切り崩せるかもしれません。
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