2024年4月3日に台湾東部沖で地震が発生し、半導体メーカーであるTSMCへの被害の有無や、半導体の生産に欠かせない露光装置への影響などについて、日本だけでなく世界各国から多くの注目が集まりました。
2024年4月3日の台湾東部沖地震の発生に伴い、人工知能向けの半導体製造分野において、世界トップシェアを誇る半導体受託生産企業「台湾積体電路製造(TSMC)」でも一時的にスタッフが避難したり、半導体の生産ラインを一部停止したりといった影響が及ぼされました。
ただし同日の夜には半導体の生産に不可欠とされる極端紫外線露光装置にも損傷などが認められなかったという発表が出されました。
結果的に地震発生から10時間以内に設備の70~80%が復旧し、一部の装置については被害が生じたものの、完全復旧を確実とするためにリソースを割いていると公式に伝えられたことは重要です。
TSMCの他にも、新竹や台南にも半導体の製造拠点を展開している「聯華電子(UMC)」では、一部の施設からスタッフを対比させて半導体製造装置の一部を稼働停止させているとしていましたが、その後に操業再開に向けて大きなトラブルもなく、再び通常運転と製品出荷を行うように決定しています。
TSMCから半導体を調達している、アメリカの半導体業界大手であるエヌビディアも4月3日の夜に公式見解を発表し、台湾東部沖地震による半導体サプライチェーンへの影響は見込まれず、混乱の発生も予想されていないと伝えて事態の安定化へ取り組む姿勢を示したことは見逃せません。
そもそも台湾では1999年に国民の多くが犠牲になった「921大地震」が発生した歴史もあり、かねてより台湾政府や民間企業などが一体となって、地震の発生や災害に対して多角的な取り組みや対策を講じてきた事実があります。そのため、事前に地震対策や地震発生時のオペレーションが官民一体となって明確化されていたことに加えて、また今回の震源地が半導体の製造工場から離れていたということも、被害規模が小さく済んだことに寄与していたと考えられるでしょう。
TSMCやエヌビディアなどは台湾東部沖地震による被害は軽微であり、サプライチェーンに影響を及ぼすことはないと発表したものの、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は地震発生の影響が自国の半導体市場を含めた国際マーケットにどのような影響を及ぼすか調査するよう、参謀陣へ指示したという報道もされています。
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