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半導体の製造にも影響するPFAS規制強化の動向

EUでPFAS規制強化の動き

一部の化合物に有毒性が指摘されているPFASは、難分解性で環境に長く残留する可能性が高いことから、欧州では排出量を最小限に抑えるための規制が検討されています。PFASが規制された場合、EU領域内での製造・上市・使用が禁止される物質は以下の通りです。

日本国内においてもPFASの一種で有毒性があるとされる「PFOS」と「PFOA」の輸入・製造が禁止されており、さらに2023年11月28日の閣議で新たに「PFHxS」が規制対象に追加されることが決定。PFHxSは泡消火剤や金属メッキ、研磨剤などに使われている化合物で、環境省の調査では神奈川県の地下水や沖縄県のわき水などで検出されています。

2024年2月に政令を施行して規制対象に追加される予定で、水道などに含まれる目標値の設定について今後検討を進めるとしています。

PFASとは

PFASは4,700種類を超える有機フッ素化合物の総称です。自然界で分解されにくい難分解性を持つことから、「永遠の化学物質」とも呼ばれています。PFASは水や油をはじくほか、熱に強く、化学的に安定している特性を持っており、産業界で広く使われてきました。

PFASのうちPFOSやPFOAなどの一部の化合物は有害性が指摘されており、国際条約で廃絶や使用が制限されています。これまでは有害性が指摘されている一部の化合物のみの規制でしたが、欧州でPFASの製造・使用を一括で規制しようという動きが進んでいます。

2023年1月にドイツやデンマークなどの5ヶ国が、PFASの製造・使用の段階的な廃止を求める規制案を欧州化学物質庁に提出。PFASは多様な産業で使用されており、代替がきかない用途も多いことから、PFASの大半の化合物が含まれる規制案が採択された場合、サプライチェーンに大きな混乱をもたらすことが懸念されています。

半導体とPFASの関係

PFASは半導体の製造に欠かせない化合物で、メーカー各社は有毒性が確認されていないPFASを使用しています。欧州で議論が進んでいるPFASの製造・使用を一括で廃止する規制案が採択された場合、欧州に進出する日本企業も規制強化の影響を避けられません。そのため、各メーカーから一括規制への懸念や見直しを求める声が上がっています。

一方で、化学・素材メーカーにとっては規制強化が新たな商機になる可能性もあり、三菱ケミカルはPFASと同程度の燃えにくい性質を持ったプラスチック素材を開発。印刷インキ事業を展開するDICは、半導体向け材料としてPFASを使用しない界面活性剤の開発に成功しています。

欧州議会で規制案が採択されれば2027年頃から規制が始まる見込みとなっており、今後の動向が注視されています。

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