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露光装置は寿命の長さで選ぶべき?

「今使っている露光装置の寿命はどれくらいなのか」「コストを抑えながら、できるだけ長く使いたい」――こんな思いを抱えている方も多いのではないでしょうか。露光装置は半導体やプリント基板、ディスプレイなど様々な製品の製造工程に不可欠です。しかし、高価で大型なうえにメンテナンスの難易度も高く、計画外の買い替えは経営に大きな負担となりかねません。

本記事では、露光装置の寿命を延ばすポイントとともに、最近注目されているリユースやLED化、さらにはソフトウェアアップデートによる延命などを紹介します。そのうえで、なぜ「寿命が長い露光装置」を選ぶことが重要なのか、その理由と最適解についてまとめました。

1. 露光装置の寿命が注目される理由

露光装置は製造ラインの中核に位置づけられ、ダウンタイムが発生すると大きな生産ロスを招きます。それにもかかわらず、装置本体は高額投資であるため、できる限り長く使い続けたいというのが現場の本音でしょう。特に半導体や基板製造など、24時間連続稼働が多い分、消耗の進行が早く「予想以上に寿命が縮まるのでは」という懸念が生じやすいのです。

2. 10~15年といわれる設計寿命は延ばせるのか

装置メーカーが設定している設計寿命は、おおむね10~15年とされています。とはいえ、これはあくまで標準使用条件を想定した目安であり、実際には以下の要因によって大きく変動します。

予防保全をしっかり行っているところでは、20年近く現役で稼働しているケースもあります。ステージ部などの消耗部品を重点的に管理し、投影レンズを交換することで精度を維持し続ける方法が一般的です。

3. リユース事例と長寿命化へのヒント

最近では、使用しなくなった露光装置をまとめて買い取り、必要な部分だけ新品を組み込みつつ再販する「リユース」ビジネスが活発化しています。リユースの代表的なメリットは以下の通りです。

こうしたリユースの事例から学べるのは、「まだ使える部分を効果的に生かすことで寿命を延ばす」という考え方です。ユーザー企業側で同様の手法を個別に行うことも可能で、メーカーとの協業やメンテ業者を活用すれば、装置全交換の大きな出費を先延ばしできます。

4. 光源の交換(水銀ランプからLEDへ)で寿命はどう変わる?

露光装置の光源は「ショートアーク水銀ランプ」が長らくメインでしたが、以下のような課題が認識されてきました。

一方、UV-LED化が進展しており、以下のメリットが注目を集めています。

光源自体の寿命が長ければ、その分だけ装置全体としても延命効果が期待できます。特に光源交換時のシャットダウンリスクや交換部品費を考慮すると、LEDのほうがライフサイクルコストを低減できるでしょう。

5. ソフトウェアアップデートで稼働年数を伸ばす

露光装置の性能を左右するのは、ハードウェアの状態だけではありません。ソフトウェアによる制御ロジックの最適化やアルゴリズム改善も重要です。

ハード部分の大規模更新に踏み切る前に、ソフトウェアアップデートを積極的に検討すれば、装置寿命を伸ばしつつ生産性を上げる可能性があります。

6. EUV装置時代の寿命問題

半導体業界では5nm、3nm、2nmへと微細化が進むなか、EUV(Extreme Ultraviolet)露光の装置が主流になりつつあります。EUV装置は従来のランプ方式と比べて桁違いに高価であり、さらに真空環境下でのミラー汚染やデブリ対策が欠かせません。
EUV光源は大電力を要するうえ、メンテナンスの難易度が高いため、寿命を維持するには従来以上に緻密な保守計画が必要です。しかし、微細化と省電力化の恩恵を考えると、長期的な視点でライフサイクルを最適化し、装置の高額な投資を取り戻すことが狙いとなります。

7. 結論:寿命が長い露光装置を選ぶべき理由

これまで見てきたように、リユースや光源(LED化)、ソフトウェア更新など、多角的なアプローチによって露光装置の寿命は大きく変わります。購入時に多少高額でも、長期運用を想定した装置を選べば、以下のようなメリットが期待できます。

最終的には「強固な本体構造と、拡張性のある制御系と光源」を持ち、メーカーやメンテ業者によるサポートが充実した露光装置を選ぶことが得策です。そうすることで、10年、15年、さらには20年単位で見ても安定して稼働させられ、長期的な投資効果が最大化されます。

加えて、点検やアップデートを定期的に実施しているかどうかも、寿命を大きく左右します。バラバラに運用するのではなく、導入から廃棄までのライフサイクル全体を戦略的にプランニングすることで、予想外の買い替えが不要になり、コストと環境の両面でメリットが生まれるでしょう。

【本記事のポイント】

露光装置はライン稼働を支える重要設備です。購入や更新時には単価だけでなく、ライフサイクルを通じた稼働年数や保守体制をしっかり見極め、「寿命が長い装置」を選ぶことで経営へのメリットが大きくなるでしょう。