インフィニオンテクノロジーズは、次世代の電気自動車(EV)や産業機器向けに利用される窒化ガリウム(GaN)パワー半導体を製造するための300 mmウエハーの開発に成功しました。これにより、GaNパワー半導体の低コスト化と、供給の安定性が向上することが期待されています。
従来、GaNウエハーの製造は200 mmが主流でしたが、今回の300 mmウエハーの開発により、製造効率が飛躍的に向上しました。300 mmウエハーでは、1枚のウエハーから製造できるチップ数が200 mmに比べて約2.3倍に増加します。この技術進歩により、コスト削減が可能となり、GaNパワー半導体がより低価格で提供されるようになります。
この技術は、インフィニオンがオーストリアのフィラッハ工場に設けたパイロットラインで開発され、今後の需要増加に対応して生産能力の拡大が予定されています。
GaNパワー半導体は、電力効率の向上や高耐圧特性を持つため、電気自動車や産業用電源、太陽光発電システム、モーター制御などに幅広く活用されます。特にEVにおいては、GaN半導体を使用することで、パワートレインの小型化や航続距離の向上が期待されます。
これまで、GaN半導体の高コストが普及の妨げとなっていましたが、今回の300 mmウエハー技術により、コストが大幅に低減され、EVをはじめとする次世代デバイスでの普及が進むことが期待されます。
インフィニオンの開発した300 mm GaN技術は、シリコンと同様の製造プロセスで大量生産が可能であり、これにより効率的な生産と供給の安定化が図られます。最先端のGaN技術を既存の300 mmシリコン製造ラインに統合することで、コスト効率を高めるとともに、持続可能なデバイスの開発を促進します。
この技術革新は、半導体業界における「ゲームチェンジャー」として位置づけられ、2030年までに数十億ドル規模の市場を牽引する力を持つとされています。特に脱炭素化とデジタル化の推進をサポートするデバイスの開発に大きな役割を果たすでしょう。
インフィニオンは、この画期的な技術を2024年11月に開催されるエレクトロニカ展示会で公開する予定です。さらに、この技術の大規模な実用化に向けて、製造ラインの拡大と市場ニーズに応じた生産体制の強化が進められる予定です。
300 mm GaN技術の登場により、電力効率とコストパフォーマンスに優れた次世代パワー半導体が多くの業界で活用されることが期待されます。
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