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エッチングについて

エッチングとは

ウエハー表面の一部を除去する工程であり加工法です。半導体を製造する過程としてウエハーにリソグラフィー(フォトリソグラフィー)を行います。現像後、ウエハー表面には、硬化レジストのパターンが形成されるのです。ただ、回路を作るには削ったレジストの箇所、その下の膜に「溶かす」「削る」といった加工を施さなければなりません。それがエッチングです。硬化レジストを対象とするアッシングとは異なり、シリコン、金属膜、シリサイド膜で行われます。

ウェットエッチング

洗浄装置に備わった、機能の一部を使った方法です。金属やシリコンを溶かす薬液を使って、対象を取り除きます。バッチ式洗浄装置を使用した場合、作業効率の高さがメリットです。

2022年近年では、あまり使われなくなり、主流のドライエッチングに取って代わられました。しかし、完全に忘れられた技術ではなく、補助的な役割で採用されています。

ドライエッチング

反応ガスによってプラズマを発生させて、加工に利用する方法です。ラジカル原子・分子を、ウエハーに接触させて起きる反応を使って微細加工を施します。プラズマエッチングとも呼ばれる方法で主流です。

ウエハーに過剰な負担がかからないよう、低温プラズマを使います。低い温度でもプラズマ化するハロゲンガス(希ガス)を使うのが特徴です。

プラズマとは

プラズマは、自由電子と陽イオンが混ざった気体のことです。一例として炎や雷があげられます。

物質は、分子同士の結びつきが強いと状態も変わります。物理的な状態を「相」と呼び、一般的に「固相」「液相」「気相」、つまり、個体・液体・気体に分類できます。個体は結びつきが強く、形は変わりません。液体は結びついていても、形は変化します。気体はゆるい結びつきで、形も密度も変化するのです。

どの相もエネルギーを加えれば変化します。液体に熱を加えれば蒸気になるのは、相が変化し気体になったからです。水蒸気にエネルギーを加えると分子同士の結びつきが弱くなり、構成する原子と電子が欠如した状態になります。欠如した電子は、原子核の周囲を回らない自由電子となり、自由に動き回るようになるのです。

気体は、自由電子と陽イオンが安定しない状態になります。その状態が、第4の相である「プラズマ」です。

エッチングの膜の削り方

エッチングといっても、削り方には2種類あります。等方性と異方性です。削り方次第で、できあがる結果は異なります。2種類のエッチングですが、ウェットエッチングで等方性エッチングを採用した場合、アンダーカットという問題が生じるのです。ここでは、等方性と異方性、2つのエッチングの特徴について解説します。

等方性エッチング

垂直と水平、反応が全方向に進むのが特徴です。ウェットエッチングで行うと、アンダーカットが発生します。ウエハー表面でレジストに近いところからスタートすると、レジストの下をえぐったようになる現象です。

等方性エッチングで起きるアンダーカットは、一般的に好まれません。集積度の高いレジストパターンだと、忠実に加工が実施されたとはいえない状態と判断されるからです。ウェットエッチングは、例外を除いて減っています。集積度の高いエッチングパターンで求められるのは高い忠実度です。

異方性エッチング

一方向に進むのが特徴です。レジストの下をえぐりません。主にドライエッチングで行います。

エッチング装置の構成

エッチング装置を構成する部品と機能を解説します。基本的にプラズマを使った半導体製造装置で、共通して備わっているものです。

プロセスチャンバー

内部が真空状態になっており、ウエハーを入れてプロセスを実行する装置です。

真空システム

プロセスチャンバーの中にある空気を抜くための装置です。新空状態で作業するために必要で、真空ポンプや配管や弁などで構成されています。

高周波電源

低温プラズマを発生させるには、チャンバーの中にある反応ガスに、高周波電波のエネルギーを与えなければなりません。そのために必要です。

ガス供給系・機構部・制御系

ガス供給系は、反応ガスを供給するためのボンベと配管で構成されています。機構部は真空チャンバーの中にウエハーを投入する役割を持ったロボットです。制御系は安全監視システムや装置を制御するための役割を担っています。

エッチング装置の分類

エッチング装置は【シリコン用】【絶縁膜用】【金属膜用】の3種類があります。構造に違いはほとんどないのですが、使用する反応ガスで使い分けるのです。反応ガスにより適した材質を分けなければならず、構造にも違いがあります。

用途に関係なくチャンバーを支えるシャーシを共通化し、用途でわけられる部分だけ交換する方法がモジュール化やユニット化です。モジュール化は露光装置でも採用されている方法で、装置のコスト削減につながっています。

エッチング装置の歴史

登場から近年まで変化しています。歴史を知ると、進歩しているのがわかります。

バッチ式ウェットエッチングからドライエッチング

かつて主流だったバッチ式ウェットエッチングから、ドライエッチングに変わっています。理由はアンダーカットの問題があるからです。ウェットエッチングは補助的な役割で採用されています。

バレル型エッチング装置からプラズマエッチング装置へ

初期ドライエッチングでバッチ式です。処理時間の長さと、バッチ内の処理の均一性が理由で近年では採用されていません。取って代わったのがプラズマエッチング装置です。アノードシースにウエハーが置かれているのが特徴です。

スパッタエッチング装置

カソードシースにウエハーを置くタイプです。カソードカップルと呼ばれており、不活性ガスの原子を使い、ウエハー表面の原子を吹き飛ばしてエッチング処理を施します。ただし、弾け飛んだ化合物が再び硬化レジスト側面に付着する弱点が挙げられています。

反応性イオンエッチング装置

RIEと呼ばれる装置で、2022年時点で主流になっています。ガスに工夫があり、スパッタエッチング装置の弱点だった、化合物の再付着化を防ぎ、微細化にも対応できる装置です。プロセスも落ちついて進み、異方性エッチングもできるようになりました。

ECRプラズマエッチング装置とHDPエッチング装置

強力な電磁波と磁場を同時にかけ、電子にサイクロトロン運動を起こします。反応ガスの原子と衝突する確率をアップさせたのが強みです。ECRプラズマエッチング装置以外にも高密度プラズマ装置はあります。ICPエッチング装置、ヘリコーン波プラズマエッチング装置などで、総称してHDPエッチング装置と呼んでいます。

露光装置パーフェクトガイド

半導体のシリコン基板(ウエハ)などのセンサ・電⼦回路を集約する微⼩電気機械システム(MEMS)をはじめ、⾼精度の電⼦機器の製造⼯程で⽋かせない存在となっている露光装置。量産⽬的、研究開発⽬的に分けておすすめの露光装置を紹介します。