イオン注入は半導体に電子が流れたり留まったりするところを作成するために行います。シリコンウエーハにボロンや、砒素のようなイオンを注入する工程です。また、イオン化した物質を注入された個体に変化があるのも特徴で、ウエーハに不純物が導入されることで、半導体デバイスの特性が向上するというメリットもあります。
極端な話、イオン注入をしないと、半導体の素子を正常に動作させるための電気は通らないことになります。ICが正常に動かなくなるため、半導体には必須の工程です。イオン注入以外の言葉として、イオン打ち込みやイオンインプラ-テーション、インプラといった呼び方もあります。I/Iという記号で表現されているケースもあります。
一般的に、イオン注入では下記の流れで行われます。
最初がイオン源です。目的の元素のイオンが発生します。次に質量分析器です。複数種類のイオンを、質量と電荷の違いで分離します。分析スリットでは、求めるイオンだけを選んで加速感に導入する流れです。
加速管で所定エネルギーにイオンを加速させます。偏向器で、粉体の注入を目的としたビームの偏向を実施。Qレンズでビームを整形し、走査機でイオンビームを、X、Y方向に走査させます。最後に、エンドステーションにより、基材を注入する流れです。
イオンソースは、古典的、基本的なフリーマン型とバーナス型があります。フィラメントに電流を流し熱することで発生する熱電子を利用したイオン化の方法で、白熱電球と同じ原理です。
質量分離部では、複数の種類が混ざるイオンソースのイオンを分類できます。質量分析技術という技術です。イオン種は磁場をかけた場合の曲がり方がそれぞれ違います。その性質を利用し、特定種類のイオン粒子だけを取り出すのです。
高エネルギータイプ、高ドーズ量タイプ、中ドーズ量タイプの3つがあります。質量分離部で取り出したイオンにエネルギーを与えて加速させることが目的です。電子や中性子やイオン粒子などに高周波電力や強磁場を与えて加速させるのです。イオン注入装置では、ウエーハを構成するシリコン結晶の結合を断ち切り、不純物イオンを叩き込む目的のため、中規模の加速器が使われています。
加速部から出たイオンビームをレンズで絞り込み、エネルギー密度を高めてウエハー表面に照射します。イオンビームは走査することでウエーハ全体に照射する仕組みで、走査はスキャンとも呼ばれている動作です。ウエーハを固定しビームを二次元的に走査するラスタースキャンと、一次元的にビームを走査する方向と直交方向にウエーハを走査させるハイブリッドスキャンがあります。
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