三菱ケミカルは、パナソニックホールディングスや大阪大学、豊田合成などと共同参画し、高品質かつ大口径の窒化ガリウム(GaN)自立基板の量産技術の確立に取り組んでいます。
高品質で大口径のGaN単結晶を成長させる「Naフラックス法」で作成したGaN基板を種結晶とし、結晶成長技術を応用した量産可能なGaN基板の成長法「アモノサーマル法」を使って、高品質・大口径のGaN基板を低コストで量産するための技術開発です。
これは、環境省の「革新的な省CO2実現のための部材や素材の社会実装・普及展開加速化事業」に基づいて行われている社会実装プロジェクトで、三菱ケミカルによって直径2インチのGaN種結晶をバルク成長させられることが確認されています。
ウエハサイズ4~8インチの成長が可能で、すでに委託先の日本精鉱所では製造装置が稼働しています。2025年ごろを目処に本格生産に移行し、月産1,000枚の量産を始める見込みです。
窒化ガリウム(GaN)とはガリウムと窒素の化合物で、ガリウムナイトライドとも呼ばれます。材料が硬く安定した結合構造を持っており、高い熱容量と熱伝導性に優れています。電子を高効率に導通し、シリコンよりも高い電界に耐えられる特性を持っていることから、シリコン半導体に代わる材料として注目されている半導体材料です。
近年、温室効果ガスの排出をゼロにするカーボンニュートラルの実現に向けて、電気機器の消費電力削減や自動車の電動化が求められています。
従来のシリコンよりもすぐれた特性を持つ窒化ガリウムで半導体を安価で製造できるようになれば、将来的にシリコンベースの半導体に置き換わることになるだろうと言われています。
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