東京都大田区に本社を構えるキヤノンが、半導体露光装置の新工場を栃木県宇都宮市に新工場を建設。総投資額は500億円あまりで、2023年下期に着工を予定しています。操業は2025年1~6月を計画しており、敷地面積は約7万平方メートルと大規模な工場が建つようです。
同社は2022年10月現在、宇都宮市と茨城県阿見町のトータル2拠点に工場を構えており、新工場は現在宇都宮にある拠点と隣接。光学技術研究所やカメラ用交換レンズの製造工場と隣り合っているため、新工場の設置により製品や営業、サポートといったさまざまな分野の強化につながること間違いありません。
非常に微細な回路パターンを作製できる露光装置は、パソコンやスマートフォン、自動車といった多くの分野で使用されており、反動チップ半導体市場における需要の急増化に対応するために、世界のさまざまな精密機器メーカーが半導体露光装置の製造販売に力を入れています。
大手製造メーカーであるキヤノンも例外ではなく、2021年に発表した新5カ年経営計画にて、「生産性の向上と新事業創出によるポートフォリオの転換促進」を基本方針として、半導体露光装置の製造強化を計画。今後も続く半導体製造装置の中長期的な需要増加に向け、年間生産能力を現在よりも2倍増加させる予定です。
新工場では、キヤノンが「次世代装置」と見定める「ナノインプリント装置」の生産も予定してます。ナノインプリント装置は、3D回路パターンを作製したマスクを液体樹脂にプレスしながら光を照射し、まるでハンコを押すように回路を転写する微細加工技術です。
現在この技術は、ワイヤーグリッドや反射防止膜など、光学デバイスにおける発光デバイスやディスプレイなどで使用されているでしょう。将来的に活用の場が広がりそうな技術のため、キヤノンの活躍に期待が高まります。
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