半導体用露光装置と一口に言っても、露光方式によってさまざまな種類に分けられます。ここでは、分割投影露光装置であるステッパーについて、特徴やメリット・デメリット、どんな方におすすめなのかをご紹介します。
光源・コスト・解像力で
比較
【量産向き】
おすすめステッパー5選
ステッパーは、縮小投影露光装置とも言い、マスクを用いずに、レチクルのパターンをウエハに直接縮小露光する方式のことです。露光エリアをいくつかの小区画に分割し、ステップ・アンド・リピートして少しずつ露光することから、ステッパーと呼ばれています。1977年にGCA(Geography Corporation of America)が10:1ステッパー4800 DSWの販売を開始。1981年に、ニコンも超LSI研究組合に10:1ステッパーVL-SR2を納入、キヤノンが「FPA-1500FA」を開発しました。その後、微細化を追求する中で光源がg線からi線、KrF、ArFへ、波長の短いものに移行。それに伴い、開発力を持つニコンとキヤノンが2000年頃まで世界シェアの70~80%を占める時代が続きました。
現在も半導体生産ラインの中枢に位置し続けている露光方式です。 ステッパーの大きな特徴は、マスクとウエハとの位置合わせが必要なため、光軸外の位置合わせ機構が搭載されている点です。また縮小投影のため、投影露光法に比べて転写欠陥が少なく済むこと。このことから、将来の微細化に向けた期待と共に、欠陥抑制に有力な露光方式として普及しました。
よく読まれている記事を紹介
ステッパーは分割露光を行うため、一括露光に比べて処理能力が落ちる点がデメリットです。その一方でウエハ全体ではなく、一部分だけを露光するので、ウエハの平面度を気にせずに、露光箇所ごとにピントを合わせられる点がメリットです。
また例えば10:1ステッパーの場合、一括露光方式ではマスク上の1μmの塵埃はウエハで解像されて欠陥になりますが、ステッパーなら縮小されて1/10の0.1μmとなり、解像されずに欠陥となりません。 ゴミがついても影響を受けにくく、大口径化にも対応することが可能なため、マスクの製作が容易になるとともに、将来の微細化に対しても、非常に大きな技術的余裕を持てるようになりました。
マスクを用いずに、レチクルのパターンをウエハに直接縮小露光するステッパー。縮小投影のため、投影露光法に比べて転写欠陥が少なく済む点や、ウエハの平面度を気にせずに、露光箇所ごとにピントを合わせられる点がメリットです。分割露光のため、一括露光に比べれば生産能力は落ちますが、メリットが大きいため、現在の半導体の生産用露光装置はほとんどがこの方式を採っています。
装置コストが非常に高い反面、歩留まり・稼働率が高いため、高精度な露光装置をお求めの方におすすめです。
半導体のシリコン基板(ウエハ)などのセンサ・電⼦回路を集約する微⼩電気機械システム(MEMS)をはじめ、⾼精度の電⼦機器の製造⼯程で⽋かせない存在となっている露光装置。量産⽬的、研究開発⽬的に分けておすすめの露光装置を紹介します。