露光装置を比較する際は、露光方式だけでなく、焼付波長による違いにも注目して下さい。ここでは、紫外線の波長の一つであるKrF線と、KrF線の露光装置を扱っている主なメーカーをご紹介します。
より微細な加工を行うため、波長が短波長化される技術革新の中にあって、90年代後半から2000年代はじめはKrF露光装置が量産ラインの主流でした。
KrF線(クリプトン・フッ素)とは、波長248nmの露光光源の名称です。希ガスやハロゲンの混合ガスを用いてレーザー光を発振させるエキシマレーザーという装置との組み合わせで、i線よりもさらに微細な回路も露光することが可能です。
g線やi線に比べて光源が少し弱いため、紫外線だけでなく熱にも反応する感光材料「化学増幅型レジスト」などが開発されています。露光装置の価格相場は約13億円ほどです。
露光装置をi線(波長365nm)、KrF(248nm)、ArFドライ(193nm)、ArF液浸(193nm)、EUV(13.5nm)の波長ごとに分け、2019年の出荷額および企業別シェアを調べたところ、露光装置市場におけるkrf線のシェア率は、キヤノンが51.1%でトップ。オランダのASMLが46.2%でこの2社で全体の97.3%を占めていました。
すべての露光装置においてASMLが1位というわけではなく、露光装置ごとに各社の住み分けがあることが見て取れます。特にキャノンはKrFとi線にリソースを集中し、KrF露光装置のシェア拡大を狙っているようです。
カメラ、ビデオをはじめとする映像機器で世界的に有名な大手精密機械メーカーです。半導体デバイス以外の用途にも展開可能な露光機群を多数製造・販売しています。KrF線露光装置では、市場の5割以上のシェア率でトップ。
高い生産性を実現したKrFスキャナーFPA-6300ES6a、33mm x 42.2mmを一括露光できるFPA-6300ESW、KrFエキシマレーザーステッパーとして高水準の解像力・重ね合わせ精度・生産性(処理能力)を実現したFPA-3030EX6などを扱っています。
1917年の創業以来、高度な光利用技術と精密技術でさまざまな製品やソリューションを提供。2010年代以降は映像事業を縮小する一方、半導体露光装置事業に力を入れています。
「投影レンズの解像度」「重ね合わせ精度」「スループット」の3つの技術を高いレベルで組み合わせ、精度の高い露光装置を開発・製造。KrF線露光装置では、スループット毎時230枚以上、装置間重ね合わせ精度6 nm以下を実現したKrFスキャナーNSR-S220Dなどを販売しています。
半導体のシリコン基板(ウエハ)などのセンサ・電⼦回路を集約する微⼩電気機械システム(MEMS)をはじめ、⾼精度の電⼦機器の製造⼯程で⽋かせない存在となっている露光装置。量産⽬的、研究開発⽬的に分けておすすめの露光装置を紹介します。