半導体露光装置について、今さら聞けない基礎知識ををまとめました。用語、露光装置の仕組み、半導体露光の工程など、露光装置のキホンはこのページでチェックして下さい。
精密な製品の品質の向上や生産効率の改善が求められる製造業界では、露光装置が重要な役割を果たします。限られた予算の中で生産効率を最大化しつつコスト削減を図るためには、製品ごとに異なるニーズに応えることができる露光装置を選ぶことが重要です。そこでおすすめの露光装置メーカー3選をご紹介します。
画像引用元:サーマプレジション(https://www.cerma.co.jp/2021/08/20/post-5456/)
画像引用元:Nikon(https://www.jp.nikon.com/company/technology/product/fpd/)
画像引用元:Canon(https://global.canon/ja/product/indtech/semicon/fpa6300es6a.html)
ウエハとは、さまざまな電子製品に搭載されている半導体の材料となる、円形の薄い板のことです。シリコンでできたものが一般的なので、「シリコンウエハ」とも呼ばれます。感光材(フォトレジスト)とは、光で感光する樹脂材料のこと。物質の表面に塗布され、エッチング処理から物質表面を保護することに由来します。
この他、フォトマスク、プリント基板、L/S(ライン アンド スペース)といった、基礎用語を解説します。
露光装置は、パソコンで作成した回路パターンデータを、ウエハと呼ばれるシリコンの板に焼き付ける装置です。原版をステージに置き、上から紫外線(UV)光を照射すると、光が投影レンズを通過して、半導体基板に回路パターンを結像します。光源には、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザー、EUV光源などが使用されます。
ここでは、露光装置の仕組みを簡単にご紹介します。
半導体チップは、トランジスタや配線をウエハ上に露光して電子回路を配置したものです。製造工程は、①マスクやウエハを作成する工程、②回路パターンをウエハ上に露光する前工程、③ウエハから1つ1つのチップに切り出して組み立てを行う後工程、の大きく3つの工程に分けられます。
完成した製品は、さまざまな製品に組み込まれ、私たちの暮らしを支えています。
半導体デバイスの微細化要求に対応して、さまざまな進化を遂げてきた露光装置。微細化には、より細い配線を半導体内部に作る必要があり、露光装置の解像度が重要なカギを握っています。解像度とは、削ることができる最小単位の大きさのこと。
ここでは、レンズの精度(開口率)、光源の波長、液浸露光という、露光装置の解像度を左右する3つの要素についてご紹介します。
「史上最も精密な機械」といわれるだけあって、非常に高額な半導体露光装置。装置の価格相場は、波長ごとに、i線が約4億円、KrFが約13億円、ArFドライが約20億円、ArF液浸が約60億円、EUVが約200憶円、さらに次世代EUV露光装置の量産機にいたっては、1台約480億円にもなると言われています。
光源波長別の露光装置の価格相場と、各装置を製造販売する主要メーカーをご紹介します。
エッチングは、ウエハー表面の一部を取り除くプロセスのこと。主流はドライエッチングで、ウェットエッチングが続きます。ドライエッチングでは、プラズマを活用した微細加工技術があり、膜の削り方にも等方性エッチングと異方性エッチングの2種類があります。
ムーアの法則は、米インテルの共同創業者のゴードン・ムーア氏が提唱した経験則で、半導体の集積率は18ヶ月で2倍になるという内容です。ムーアの法則はガイドラインにもなったことから半導体競争が活発化。IT技術が急速に進歩しました。
露光装置は光源の光を使って半導体回路を焼き付ける装置です。光源は紫外線ランプを使用。初期の70年代や80年代はg線という波長の長いタイプが主流でした。90年代は波長の短いi線、後半にはDUVが採用されるように。DUVにはKrFやArFが登場しましたが、mArFも限界がありました。今では次世代の波長が13nmのEUV光源を搭載した露光装置が注目を浴びています。
フォトレジストとはポリマーや感光剤、溶剤が主成分の科学薬剤です。光で性質が変化する特性を持っています。フォトレジストは露光の溶解性の変化によりネガ型とポジ型に分けられているのが特徴。露光した部分だけが溶けて他が残るのはポジ型、露光してない部分だけ残って他が残るのはネガ型です。
プリント基板を見かけるとき、基板が緑色のものを目にすることがよくあるでしょう。塗布されている緑色のインクが、ソルダーレジストです。ソルダーレジストには不必要な「はんだ」の付着を防いでショートを防ぐほか、ゴミやほこり、湿気から回路パターンを保護する、絶縁性を維持するといったさまざまな役目があります。
半導体とは、電気的に親和性のある導体と、電気を通さない絶縁体の性能を備えている電子部品です。半導体によって任意の方向にだけ電気を流したり電気のオン・オフを制御したりと、様々なコントロールを行うことが可能となります。半導体には単一の素子を備えたものから、複数の素子を有して複雑な生業を行えるものまで複数あります。
半導体製造において「ウエハ」とは半導体の電子基板となるベースの素材であり、シリコン製のウエハを「シリコンウエハ」と呼びます。シリコンウエハはシリコンの純度を「99.999999999%」まで高めた単結晶インゴットから切り出され、研磨や熱処理、洗浄といった複数の工程を経た上でようやく半導体の材料として使用されます。
半導体材料市場は拡大傾向です。2017年頃から拡大傾向を示しはじめました。中心は台湾最大大手半導体メーカーTSMCです。材料別では、前工程で使われるシリコンウエハーがトップシェアを誇ります。他にもフォトマスクが右肩上がりを維持し、洗浄工程で使われる化学薬品、ドライエッチングで使われるガスなどが、軒並み拡大傾向を示しています。
液浸露光は、露光装置のレンズとウエーハの間に純水を満たして解像度を高めた露光プロセスです。液浸露光技術が注目されている理由は、半導体の微細化です。微細化を突き詰めると一定以上は小さくできない理論的な限界が訪れます。その限界を突破する技術として液浸露光の研究と開発が進められたのです。液浸露光とはなにかを解説しています。
スピンコートとは、ウエーハの中心に薬液を滴下後、高速回転させてウエーハに均一に薬液を塗布します。スピンコーターという装置が高速回転することで、遠心力が生まれて均一に薬液を塗布する仕組みです。特に洗浄とレジスト塗布で使われています。スピンコートとはどういうものか?どんな工程があるのか?メリットやデメリットについて解説しています。
イオン注入は、イオン化した物質を個体に注入し、その個体の特性を変化させることを目的とした加工法です。イオン注入をすれば、半導体に電気が流れる、留まったりする所を作ることができるのです。逆にイオン注入がないと、ICは正常に動作しません。イオン注入とはなにか?どんな工程を辿るのか?各工程でなにをするかなど、イオン注入を解説します。
半導体の製造プロセスの中で、多くの割合を占めている洗浄工程。パッチ式や枚葉式などの洗浄方法があり、除去の対象となるものは多岐にわたります。空気中を舞うチリ(パーティクル)はもちろん、油脂や自然酸化膜も除去されます。
ドライイン・ドライアウトを基本とする半導体製造では、洗浄後に必ず乾燥工程が行われます。シリコンウエハに水分が残っていると、酸化する可能性があるためです。乾燥方法は多種多様で、それぞれにメリットやデメリットがあります。
SEMIとは、国際的な半導体産業の発展を目指す「国際半導体製造装置材料協会」の略称で、「SEMI規格(SEMIスタンダード)」を策定した団体です。このページでは、SEMIとはどんな団体か、概要や活動内容を解説しています。
半導体製造に欠かせない貴ガスの種類や利用方法について、基礎知識を詳しくまとめました。また、現在も続いているロシアウクライナ戦争によって、貴ガスが世界にどのような影響を与えているかについても解説しています。
半導体業界で注目されている「SiCパワー半導体」とは何か、基礎知識や使用するメリットをまとめました。今後、SiCパワー半導体が半導体市場にどのような影響を与えるか、今後の市場予測についても解説しています。
半導体業界では、半導体の設計・開発は「ファブレス企業」、製造は「ファウンドリ企業」で分業するのが主流です。ここでは、そもそもファブレス企業とファウンドリ企業とは何か、基礎から詳しく解説しています。
微細化とは、半導体デバイスのトランジスタの素子の大きさを微細加工することです。微細化することによって、電子機器の高性能化や高速化、省電力化が期待されることから、半導体製造メーカーがこぞって微細化を進めています。
ニュースにも取り上げられる世界的な半導体不足ですが、自動車業界にはどのような影響を与えているのでしょうか。自動車に使われる半導体には何があるか、基礎知識を振り返りながら、半導体不足の原因や影響、解消が見込まれる時期について解説しています。
半導体プロセスの微細化による性能向上に陰りが見えるなか、微細化に代わる新たな技術として注目されているのがチップレットとヘテロジニアスインテグレーションです。今後の半導体の技術発展を引っ張るとされる、チップレットとヘテロジニアスインテグレーションについて解説します。
PFASは有機フッ素化合物の総称で、半導体を含む産業界で広く使われている化合物です。一方でPFASに含まれる化合物の一部に有毒性が指摘されており、日本でも輸入・販売が禁止されています。欧州ではPFASに含まれるほぼすべての化合物を一括で規制しようという動きが見られ、規制法案が採択されるとサプライチェーンに大きな混乱をもたらすことから、各メーカーが動向を注視しています。
CMOS(相補型金属酸化膜半導体)は、パソコンやスマートフォン、タブレット、デジタルカメラ、ネットワーク機器などの身近な電子機器に幅広く利用されている半導体技術です。優れた特性を備えており、汎用性も高いことから現代の電子工学において重要な存在となっています。
化合物半導体は、2種類以上の元素を材料にして構成される半導体です。さまざまな元素を組み合わせることにより優れた特性を得られることから、次世代の半導体と称されることも。一方で、現在主流になっているシリコン製の半導体に置き換わらない大きな課題も抱えています。
半導体の分野におけるダイシングとは、ウエハ上に形成された集積回路を切断して、1つひとつのICチップに切り離す作業や技術のことです。非常に高度な加工精度が要求されるため、要求精度を満たすためにダイサーやレーザーダイサーなどの装置を使って加工が行われます。
ワイヤーボンディングは超極細のワイヤーを使って、集積回路上の電極と基板・半導体パッケージの電極を接続させる技術です。ワイヤーボンディングの工法は「ボールボンディング方式」と「ウェッジボンディング方式」の2つに大別され、それぞれで仕上がりの形状が異なります。
モールディングは半導体製造の後工程の1つで、ワイヤーボンディング後のICチップをエポキシ樹脂などで固めて物理的衝撃や水分による酸化などから保護するために行います。モールディングは「気密封止」と「非気密封止」の2つに大別され、モールディングで主流なのはコストが安価で生産性の高い非気密封止です。
ベベル成膜は絶縁体保護フィルムを使ってベベル部を保護し、半導体製造の工程で発生する欠陥や損傷を防止する手法です。製品の歩留まり向上に貢献できることから、大手の半導体メーカーにも導入されています。
CMPとは、薬品による科学的な研磨と機械的研磨によって半導体ウエハを平坦化する技術です。半導体チップの配線回路の微細化・多層化が進む現在の半導体製造において欠かせない技術と言われており、多くの半導体製造で用いられています。
エキシマレーザーとは気体レーザーの一種で、キセノンやアルゴンなどの気体を組み合わせ、強い紫外領域の波長帯の光を発生させるレーザーです。半導体の微細化に欠かせない重要な役割を果たしているほか、微細加工や薄膜加工などの製造業や眼科・皮膚科などの医療現場にも活用されています。
露光波長は、半導体製造で用いられるフォトリソグラフィ技術の核心要素です。短波長ほど解像度が高まり微細加工が可能ですが、高コストや技術的課題も伴います。現在主流のArFエキシマレーザー(193nm)や次世代のEUV(13.5nm)は、ナノレベルの加工を支える最先端技術として注目されています。
スループットは、半導体製造装置が1時間に処理できるウェーハの枚数を示す重要指標です。これにより生産効率が左右され、遅い工程がボトルネックとなることもあります。高速化や自動化でスループットを向上させる一方、品質管理やメンテナンスの最適化も欠かせません。
マスクブランクスは、半導体製造における重要な部材で、特にフォトリソグラフィ工程で使用されます。この工程では、マスクブランクスを基に作成されたフォトマスクが、ウェハに回路パターンを転写します。EUV(極端紫外線)技術の普及により、品質や欠陥の低減がますます重視され、デバイス性能向上の鍵を握る存在です。
露光装置は、ただ高性能なだけでなく「どれだけ長く使えるか」が選定のカギです。ここでは、装置寿命を延ばすためのリユース活用やLED光源への切り替え、ソフトウェア更新の工夫などを紹介。導入コストだけでなく、ライフサイクル全体を見据えた選び方で、安定稼働とコスト削減を両立させるヒントが満載です。
高精度が求められる半導体露光装置では、わずかな発熱が製品精度に影響することも。ここでは、光源やモータ、ポンプなどの発熱部位と冷却手法を解説し、省エネ設計の重要性を紹介。冷却設備の負担を抑えつつ、トータルコスト削減と工場全体の省エネを実現するための選定ポイントがわかります。
半導体製造の最先端を支えるEUV露光装置は、極短波長の光を用いて極微細な回路パターンを転写する一方、光学系の減衰補償のために約1MWという膨大な電力を必要とします。その結果、環境負荷や運転コストの増大という課題が顕在化しており、業界全体で省エネルギー化が急務となっています。ここでは、露光装置の電力問題について詳しく解説していきます。
従来型露光装置は、高出力の水銀ランプやDeep UVランプの使用により、大量の電力消費と頻繁な部品交換が求められるため、CO₂排出量や環境負荷が大きな課題でした。そこで、固体光源の導入、リユース・リデュースの取り組み、さらにはソフトウェアアップデートによる性能向上といった次世代技術により、省エネルギーと環境対策を同時に実現する新たな選定基準が登場しています。
露光装置を選ぶ際は、まず「露光エリア」と「設置フットプリント」を把握することが重要です。研究室向け小型モデルは幅約50×奥行60×高さ65cm・100kg前後、工場向け中型は幅1.5m×奥行2.6m×高さ1.9m・800kg前後、大型ディスプレイ用では幅8m以上×奥行11m×高さ6mにも達します。搬入ルートやフロア耐荷重、振動対策、クリーンルーム環境(温度20℃±2℃・湿度40~60%)、前後1m・左右50cm以上のクリアランス、電源・配管・排気の配置も事前に確認しましょう。省スペース設計の縦置きモデルやIoT最適化機能付き装置、メンテナンスドアまわりの通路確保でダウンタイムを減らす工夫もポイントです。
露光機の校正とは、標準光源や受光器との比較で放射照度・積算光量・ピーク放射照度・波長精度・照度均一度を測定し、ランプ電流やフィルター、レンズ配置を調整して正確な照射条件を維持する作業です。校正には分光放射照度計や紫外線パワーメータ、積算光量計を使用し、温度20℃前後・湿度50%前後の暗室環境で行うのが理想的。手順は「測定→調整→再測定→記録」で、校正データはトレーサビリティ証明として保存します。定期校正は年1回推奨ですが、稼働状況が厳しい場合は半年~四半期ごとに実施し、設備管理システムへのリマインド登録で漏れを防ぎましょう。