2024年4月9日、信越化学工業は、半導体露光材料の拡大に向けて、群馬県伊勢崎市に新工場を建設すると発表しました。同社は、長年シリコン樹脂の製造を群馬県で行っており、ゆかりのある土地として伊勢崎市を選んだといいます。
新工場建設の第1期の投資総額は約830億円で、2026年までの完成を目指します。第2期以降については、半導体露光材料分野の市況を見ながら積極的に投資していく方針とのことです。
信越化学は新工場建設の発表後、マイクロLED用製造システムに続き半導体パッケージ基板製造装置と新工法を開発したと発表しました。
新工法は、半導体の前工程で用いられる独自の工法「信越デュアルダマシン法」を後工程用パッケージ基板製造に応用したもので、従来は実現できなかった微細加工を可能とします。
新しい工法ではパッケージ基板製造におけるフォトレジストプロセス(回路を焼き付ける前に感光剤を塗布する工程)を不要とするため、コスト低減と設備投資の抑制にもつながるといいます。
さらに、インターポーザと同様の機能を持つ配線パターンを、直接パッケージ基板に加工・形成することでチップレット間の接続がパッケージ基板上で行えるようになります。これにより、チップレットを用いる先端半導体の工程短縮やコストダウンにもつながります。
シリコンウエハー市場で約3割という世界的シェアを誇る信越化学は、住宅などの配管に使われる塩化ビニル樹脂でも世界トップの企業です。この装置技術と素材技術を持つ独自の強みを活かして、それぞれの技術を融合させる取り組みを積極的に行っています。
新たな製造プロセスを国内の新拠点で開発し、さらに装置と材料の両面からトータルソリューションを提案する戦略で、国内における次世代半導体技術の発展を牽引していきたい構えです。
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