エキシマレーザーとは、強い紫外領域の波長帯の光を発生させるレーザーで、気体レーザーの一種です。レーザー発振に必要な光の増幅に希ガスやハロゲンなどのガスが組み合さっており、特にXeCl(キセノン・塩素)、KrF(クリプトン・フッ素)、ArF(アルゴン・フッ素)レーザーはより高出力・高効率で、半導体の微細化に重要な役割を果たしています。
半導体集積回路をより微細にするためには、より細い配線を半導体内部につくり、極細の溝を刻まなくてはなりません。この「極細の溝」を刻む技術をフォトリソグラフィといい、フォトリソグラフィに用いられるのがエキシマレーザーです。
半導体製造のほか、樹脂やガラスの微細加工、薄膜生成、皮膚・眼・血管治療など医療現場においても応用されています。
紫外領域のレーザーの中でも高効率で発振できるので、装置を小型化できるメリットがあります。高度な解像力を必要とする半導体露光装置の光源として使われている理由はこのような特長からです。
また、ピンポイントで照射できるため、人体に照射する際に健常な部位に影響を与えることがありません。そのため、治りにくいとされている皮膚病や眼科におけるレーシック治療などにも用いられています。
エキシマレーザーに限らず気体レーザー全体に言えることですが、レーザーを発振するにはガスを常に高い密度に保つ必要があります。
固体レーザーの場合、媒質が固体なため比較的設定がしやすいですが、エキシマレーザーは気体のため容易ではありません。高密度のガスを保つのにランニングコストがかかります。
エキシマレーザーは強い紫外領域で光を発生させることができるため、露光装置の光源として利用されています。
最先端の露光装置にはEUV光源が使われているものの、EUV露光装置は1台が数百億円もする高価なものです。世界中の露光装置がEUVに置き換わるには10年以上もの時間がかかると言われており、しばらくはエキシマレーザーによる半導体製造が続くと考えられています。
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