ダイレクトイメージとは、出力レーザーでデータを感光性樹脂に直接描画する半導体用露光装置です。ここでは、その特徴やメリット・デメリット、どんな方におすすめなのかをご紹介します。
従来の露光装置は、回路パターンが描かれたマスクを先に作成し、そのパターンを水銀ランプで露光する方法が一般的でしたが、ダイレクトイメージは、 マスクを用いることなく、PC上で作成したパターンデータを直接基板上のフォトレジストに転写できる露光装置です。
基板上に感光剤(レジスト)を薄く塗布して、レーザー光を直接照射することで、レジスト上に回路パターンが作成されます。全自動かつスピーディーに、低コストで露光を行うことが可能。マスク作成が不要で、試作などを少ロット製作する場合に費用・時間が大幅に削減できるため、マスクレス露光装置とも言われています。
それまで国内半導体設備は高精度高多層の連続量産ラインが中心でしたが、生産の海外シフト化が押し寄せ、小ロット品の需要が増加。既設の高精度量産ラインで小ロット品の生産を行うのは効率が低いことから、ダイレクトイメージが開発されました。
マスクが必要ないため、従来のマスクを使用する露光装置に比べて、試作などの少数製作でも費用・時間をかけずに行うことが可能です。また、マスク制作時のミスや、マスク材料の伸縮による精度誤差の発生、密着焼き付けによるゴミなどを心配する必要がありません。転写の位置ずれを補正するアライメント精度の高さに加え、10μm以下のファインパターンも可能なことから、Any-Layer構造のパッケージ基板の狭ピッチ配線への応用展開も期待されています。
一方で、マスク露光とは異なり、アライメント時にマスクマークとワークマークを重ね合せて観察できない点はデメリット。また、静止状態で露光するマスク露光装置に対し、ダイレクトイメージはスキャンしながら露光するため、非常に高精度な駆動系と制御機能が必要です。生産性も低いため、量産用としてはまだ普及していません。
レーザーによる直接描画で、データをフォトレジストに転写できるダイレクトイメージ。一番のメリットは、マスクを使用しないため、その分のコストやミスを削減してスピーディーな露光が可能な点です。データを変更するだけで任意のパターンを露光できるので、研究開発試作や少量カスタム生産におすすめ。
MEMSデバイスパターンの直接描画や、露光用マスクパターン作製などに多く使用されています。
エレクトロニクス分野をはじめ、映像やバイオ・医療などの幅広い分野に光ソリューション製品を提供しているメーカーです。国内だけでなく、アメリカやヨーロッパ、東アジア、東南アジアに販売・生産拠点を構えています。ICパッケージ基盤市場(DI露光機市場)における、ウシオ電機株式会社のダイレクトイメージング露光装置の世界シェア率は50%です(2023年3月31日時点/ウシオ電機株式会社調べ)。
ウシオ電機株式会社が培ってきた高精度光学技術が生かされており、解像性能は5µmL/Sを達成。AutoFocus機能が搭載されているため、±100µmまでのうねりに対応できます。
ビアメカニクス株式会社は2013年まで日立グループに属していたプリント配線板の高速高精度加工装置メーカーで、プリント基板ドリル穴明機を主力製品としています。ハイエンド製品に対応できる設計開発技術と品質が強み。主要なハード・ソフトをすべて自社開発・内製化しているため、顧客のニーズに応じたカスタム製品の提供にも対応しています。
パッケージプリント配線板用の高精度ダイレクト露光機。描画エンジン工学系の改良を独自に重ね、ビームスポット径の微細化を実現。さらに従来モデルとのスキャン比1.4倍を達成し、生産性を大幅に向上しています。本体が小型化され、マスク露光機からの置き換えもスムーズです。
プリント基板製造装置の開発および関連サービスの提供を主事業としているメーカー。主力製品にはSCREENグループのコア技術となる直接描画技術や画像処理技術などを生かした、ダイレクトイメージング装置や光学式外観検査装置などがあります。
3波長の光源を自在に調整でき、露光に必要な波長域をより幅広くカバーすることで対応レジストの種類を拡大。さらにハイパワー光源を搭載し、生産性の向上を実現しています。基板の歪み補正として独自のアライメントアルゴリズムを装備。高速でのスループットと高精細な仕上がりを叶えたダイレクトイメージング装置です。
1951年に創業し、プリント基板関連機材をはじめ、スプリングの材料や機械、省エネルギー・エコロジー関連などの幅広い商品を販売している会社です。露光機関連では、ダイレクトイメージング露光機やコンタクト(マスク)露光機などを扱っています。
L/S=4/4~35/35μmまで幅広い機種が用意されています。メカニカルクランプやオートフォーカス機能を搭載し、装置停止時間の大幅な削減を実現。世界の先進基板メーカーの量産ラインにも採用されているダイレクトイメージ露光機です。
2023年に設立し、電子回路基板業界を中心とした事業を展開する装置メーカー。「Beginning of New Direct Imaging」をキャッチコピーに、従来とは一線を画すダイレクト露光装置の提供に取り組んでいます。
独自の光学技術でL/S=4/4umの高解像パターンニング形成を実現。さらに高効率駆動のプラットフォームと補正アルゴリズム技術の組み合わせによって、生産性の向上・高精度アライメント・省スペース化を叶えています。
露光ランプやXeランプといった産業用特殊ランプを製造販売・輸出している特殊放電ランプメーカーです。水銀代替製品や露光代替技術の開発も行なっており、ユーザーや環境に優しい製品の改良・開発に力を入れています。
アメリカに本社を持つ半導体メーカーTexas Instruments社の0.7XGA DMDを使用したマスクレス露光装置。中間調画像をデータとして与えることでハーフトーン露光が可能。MEMSや高周波用ストリップ線路・プリント基板の試作、タイトラーとしての使用など幅広い用途で活用できます。
半導体のシリコン基板(ウエハ)などのセンサ・電⼦回路を集約する微⼩電気機械システム(MEMS)をはじめ、⾼精度の電⼦機器の製造⼯程で⽋かせない存在となっている露光装置。量産⽬的、研究開発⽬的に分けておすすめの露光装置を紹介します。