朝鮮日報は、韓国が半導体の製造時に使われる超純水の国産化に成功したと報じました。早ければ2024年8月にも韓国の半導体工場で導入されることになると伝えられています。
このページでは、そもそも半導体の「超純水」とは何か、どのような工程に用いて作られるのかを解説しながら、韓国の半導体技術の今後について考察していきます。
超純水とは、水に含まれる無機質やバクテリア、塩類、ガスなどの不純物を全て除去し、水を構成する水素と酸素だけを残して、河川水や工業用水などの水を限りなくH2Oに近づけた水のことです。
似たような言葉に「純水」がありますが、これは電気抵抗率が0.1~1.5MΩ・cm (メグオーム・センチメートル)の水を指します。超純水は限りなくH2Oに近く高純度な水のため、電気抵抗率は18.24 MΩ・cmと純水よりも電気が通りにくいのが特徴です。
超純水は、微小なごみも許されない半導体ウエハーや液晶の洗浄用水として使われます。超純水には不純物が含まれていないため、一般的な水よりも不純物を溶かす能力が上昇しているためです。
半導体製造において、超純水は必要不可欠です。8インチのシリコンウエハーを1枚製造するには、最大7,500リットルの水が必要で、そのうちの約3分の2は超純水でなければなりません。超純水を精製するには、さまざまな精製技術を組み合わせて水に含まれる不純物を段階的に除去していく工程が必要です。
韓国政府は、サムスン電子を主体とした民間投資により、2042年までに300兆ウォン(約30兆2千億円)を投資して、世界最大規模の先端非メモリー半導体クラスター(集積地)を構築する計画を進めています。
宇宙や自動車、水素などの次世代産業を育成する目的と、アメリカが行っている対中半導体制裁がエスカレートしていく中で、中国にある韓国系の工場にも影響が懸念されているためです。アメリカの半導体制裁を発端に、今や半導体産業は国家経済の競争力を左右する重要な戦略要素となっています。
世界に後れを取らず韓国の半導体産業をグローバルトップレベルに育成しようとする動きは、今後も韓国の半導体技術を発展させていくと予想されます。
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