中国半導体受託生産大手SMICが、回路線幅7ナノ以下の半導体製造工程を確立したらしいと、カナダの技術情報メディア「テックインサイツ」が報告しています。
SMICは米政府によって先端技術や装置の提供を禁止される制裁リストに掲載されています。オランダの半導体装置大手ASMLからも、EUV露光装置を買えない状態でした。
EUV以外にDUV露光装置を使えば、先端半導体の製造は可能です。ただし、露光回数の増加、工程の複雑化による不良率と1チップ当たりの製造コストが高くなります。中国は国自体が半導体産業重視しているため、アメリカに制裁されても国産化を目指せばいいという流れになっているようです。
中国では半導体産業を重視しています。習近平国家主席は、2015年に製造強化策として「中国製造2025」を掲げました。その中には、2030年までに半導体自給率75%がはっきりと明記しています。ただ、2021年時点で国内製造のチップは、外国メーカーのものも含めると16.7%の割合です。
その状況から75%アップですから厳しい要求でしょう。ただ、中国政府も丸投げではなく、優遇策により半導体メーカーを支援しています。支援するだけの価値があると、政策立案者は考えているからです。
半導体メーカーを中国政府が支援するのは大きな意味を持ちます。大量の国産半導体メーカーを支援し、巨大な存在にすることを考えているようです。生産規模や技術力が海外メーカーより弱くても市場全体を支配さえすれば、新興の半導体受託生産会社が入りづらい状況になります。
海外メーカーとの競争に十分勝てる半導体メーカーが2社程度自国から出れば、半導体市場を牛耳れるでしょう。半導体は世界でなくてはならない存在になっています。その半導体で力をつければ経済的なこと以外に、軍事面でも大きな意味を持つのです。
2027年は、人民解放軍創設100周年を迎えます。中国は軍隊の完全な現代化を推し進めている状況です。AI、量子コンピューター、極超音速分野では半導体の技術力が欠かせません。その点も中国が半導体を重視する理由です。
関連ページ
半導体のシリコン基板(ウエハ)などのセンサ・電⼦回路を集約する微⼩電気機械システム(MEMS)をはじめ、⾼精度の電⼦機器の製造⼯程で⽋かせない存在となっている露光装置。量産⽬的、研究開発⽬的に分けておすすめの露光装置を紹介します。