化合物半導体は、2種類以上の元素を材料にしている半導体です。化合物半導体はシリコン製の半導体に比べて基板の結晶欠陥が多くて割れやすく、さらに原材料も高価なため、実用化向きではないとしてあまり使われてきませんでした。
けれど、化合物半導体はさまざまな元素の組み合わせで優れた特性を得られることから、これまでシリコンなどの単一の半導体ではできなかった機能の実現や高効率化への大きな貢献が期待されるように。現在はキーマテリアルとして、スマートフォンの高周波デバイスや青色発光ダイオードなどの材料として利用されるまでに成長しています。
化合物半導体は組み合わせる元素の種類を変更することで、自由にバンドキャップを選べ、求める特性を得られるのがメリットです。バンドギャップが大きいと絶縁破壊の強度や熱伝導度が高まるため、パワー半導体をはじめとした高電圧・大電流を扱う重要部品としての活用が期待されています。
また、半導体の材料として一般的なシリコンに比べ、電子移動度が高いのも特徴です。化合物半導体の材料の1つであるインジウムガリウムひ素(InGaAs)は、シリコンに比べて約10倍もの電子移動度を誇ります。材料の置き換えによって半導体の特性向上を期待できるのも化合物半導体のメリットです。
単一の半導体にはないメリットを持つ一方で、一般化していない最大の原因としてコストの高さがあげられます。化合物半導体は原材料がシリコンに比べて高価なほか、ウェハーの大口径化が困難で量産に限界があることも製造コストを高くしている原因です。また、結晶生成時にさまざまな欠陥が生じやすいことも、化合物半導体の大きな課題となっています。
量産性の低さや製造不良の多さなどによる製造コストの高さがデメリットとなっていますが、改善に向けた取り組みも行われているため、より身近な存在になる日もそう遠くないかもしれません。
化合物半導体の組み合わせの種類は色々ありますが、主なのは「II族-VI族」「Ⅲ族-Ⅴ族」「IV族-IV族」の3つです。
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