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半導体の乾燥

半導体製造では洗浄と乾燥は必ずセット

半導体の製造プロセスにおいて、洗浄と乾燥はセットで実施されます。半導体を製造する際、シリコンウエハの表面に付着した不純物は薬液で除去します。しかし薬液に浸した後のシリコンウエハは水分を含んでいますので、そのままの状態では空気に触れて酸化が進むおそれがあります。積層にも影響が出かねないため、丁寧に乾燥させる必要があるのです。

半導体の製造はドライイン・ドライアウトが基本です。一連の洗浄が完了した後は必ず乾燥が行われます。なお乾燥方法は多数の種類があり、コストやスループットなどが異なります。

半導体の乾燥方法

半導体の乾燥プロセスでは、主に以下の方法が利用されています。それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。

スピン乾燥

シリコンウエハを高速で回転させて乾燥させる方法です。1〜複数枚のシリコンウエハを回転させ、遠心力によって水分を飛ばします。一方向に回転させるため、表面が平らなシリコンウエハの乾燥に適しています。

スピン乾燥は装置の構造が単純であり、低コストでの導入が可能です。スループットも高く、短時間で乾燥させられる点もメリットといえます。

しかし回転する部分が多く、回転部からパーティクルが発生するおそれがあります。またシリコンウエハに負荷がかかるため、壊れやすいものには適しません。

真空乾燥

減圧した真空チャンバーにシリコンウエハを入れ、水分を蒸発させる方法です。減圧すると、水分は急速に沸騰しますが、この原理を利用してシリコンウエハを乾燥させています。

真空乾燥は細部まで乾燥させることが可能で、かつ短時間で処理できます。装置は単純な構造のため、低コスト運用できるのもメリットです。

一方、真空チャンバーから取り出した際に結露が発生するケースがあります。取り出す際に薬剤が凍ってしまうと、乾燥に余計な時間がかかってしまいます。

蒸気乾燥

乾燥用の溶媒を蒸気で加熱し、シリコンウエハを乾燥させる方法です。乾燥用溶媒を凝集することで、同時に表面の洗浄も並行で処理できます。

蒸気乾燥はスピーディーな乾燥ができ、スループットを高めることが可能です。パーティクルの付着率も低く、壊れやすいシリコンウエハも乾燥させられます。

しかし乾燥用溶媒がシリコンウエハ表面に付着し、残留してしまう可能性があります。

IPA蒸気乾燥

シリコンウエハの水分をイソプロピルアルコール(IPA)に置換し、乾燥させる方法です。凝集したIPAを蒸気が発生する温度まで加熱し、その後シリコンウエハ表面の残膜を蒸発させて乾燥を行います。

IPA蒸気乾燥は回転機構がなく、パーティクルの付着リスクを低減させられます。壊れやすいシリコンウエハも乾燥可能で、ウォーターマークが発生するリスクも低いメリットがあります。

ただしIPAは引火性が高く、取り扱いに細心の注意を要します。乾燥が十分でないと、有機物がシリコンウエハ表面に残留する可能性もあります。

温風乾燥

シリコンウエハに高温のガス(温風)を当てて水分を蒸発させる方法です。主に密閉式の専用チャンバーを設け、その中でシリコンウエハを乾燥させます。

温風乾燥は、加熱したガスの一部を再利用する装置が多いため、低コストで運用できます。一方でパーティクルの付着率が高く、均等に乾燥できないデメリットがあります。ウォーターマークの発生には注意が必要です。

マランゴニ乾燥

シリコンウエハ表面にIPAの蒸気と窒素ガスを吹き付けて乾燥させる方法です。IPAの蒸気を吹き付けると、シリコンウエハ表面と水分の間に「マランゴニ力」という力が発生します。この力を利用し、シリコンウエハ表面の水分を除去・乾燥させます。

マランゴニ乾燥はウォーターマーク発生率が低く、パーティクルが付着するリスクも低めです。乾燥時に力を加えないため、壊れやすいシリコンウエハにも対応させられます。

ただしスループットが低いため、半導体の製造効率が低下する可能性があります。また、IPAをはじめとする有機物の残留にも注意が必要です。

ロタゴニ乾燥

シリコンウエハを回転させつつ、IPAの蒸気を吹き付けて乾燥させる方法です。スピン乾燥とマランゴニ乾燥を組み合わせた乾燥方法といえます。

ロタゴニ乾燥は、IPA蒸気と遠心力によって水分を飛ばすため、マランゴニ乾燥と比較してスループットが高めです。短時間で乾燥させられることから、ウォーターマークの発生リスクも抑えられます。

なお、マランゴニ乾燥と比べてIPA使用量も減らせますが、少なからず有機物の残留リスクがあります。

引き上げ乾燥

温めた純水の中からシリコンウエハを一定速度で引き上げ、乾燥させる方法です。表面張力を利用して水分を取り除き、シリコンウエハを乾燥させていきます。

引き上げ乾燥は低コストでの運用が可能で、スループットも高められます。また、乾燥時に衝撃を加えないため、壊れやすい極薄のシリコンウエハの乾燥にも対応しています。

一方、シリコンウエハと治具の間に接触部ができるため、水分の残留によるウォーターマーク発生に注意が必要です。

赤外線乾燥

シリコンウエハ表面に赤外線を照射して水分を除去する方法です。赤外線は直進性があるため、単純な形状のシリコンウエハを乾燥させる際に適しています。

赤外線乾燥はシンプルな手法で、壊れやすいシリコンウエハの乾燥にも対応しています。ただし、ウォーターマークの発生率は高く、熱に弱いシリコンウエハの乾燥には利用できません。

露光装置パーフェクトガイド

半導体のシリコン基板(ウエハ)などのセンサ・電⼦回路を集約する微⼩電気機械システム(MEMS)をはじめ、⾼精度の電⼦機器の製造⼯程で⽋かせない存在となっている露光装置。量産⽬的、研究開発⽬的に分けておすすめの露光装置を紹介します。