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Rapidus(ラピダス)を設立した背景とは?

半導体の地政学リスク

半導体には地政学リスクがついて回っています。スマートフォンやパソコンのプロセッサーで使われているものは、ロジック半導体です。最先端のロジック半導体を量産できる技術を持った国は限られています。4nm~7nmのロジック半導体を生産できるのは、台湾のTSMCと韓国のサムスン、インテル、IBMです。

その中で生産量が多いのはTSMCとサムスンといわれています。つまり台湾と韓国の企業という点で、地政学リスクが懸念されるのです。中国と台湾の関係を考えると、年々、有事の可能性が高まっています。アメリカも巻き込む有事が台湾周辺で発生した場合、半導体の調達と流通について悪い意味で大きな影響が出るのです。

コロナ禍においてもロックダウンと、技術流出リスクを懸念したアメリカによる動きで中国での半導体製造が停滞して不足につながっています。解決するには地政学的なリスクを解決しなければなりません。方法のひとつが複数地域での生産と調達の分散なのです。そのためには、国レベルでの量産設備の投資が求められます。

Rapidusの設立について

Rapidus(ラピダス)はソニー、トヨタ自動車、デンソー、キオクシア、NTT、NEC、ソフトバンク、三菱UFJ銀行など、日本国内大手企業8社が出資し、半導体の専門家集団が設立した半導体新会社です。日本政府も700億円の開発費を拠出しています。

目的は世界最先端のロジック半導体の開発と製造です。Rapidusが設立された背景には、日本の半導体産業が世界から遅れを取り、重要性も薄れていくことに懸念があったからです。半導体はものづくりにおいて重要ですが、ファウンドリは台湾と中国に多くあるため経済安全保障の面でもリスクがありました。

2030年代になると自動車やAI分野での需要が高まる中、日米首脳会談で次世代半導体を開発しようという話になったのです。日米欧連携、国内外の素材産業と装置産業と協力体制を構築し、2nm最先端LSIファウンドリを日本で実現しようという取り組みです。

実際、2022年12月6日にはベルギー半導体国際研究機関imec(アイメック)と最先端半導体技術の長期的、持続可能な協力に向けた覚書も締結しています。グローバルに連携し発展していくことで、半導体開発が加速しているのです。

imec(アイメック)とは

imecはベルギーの半導体国際研究機関です。imecは最先端半導体製造で必要なEUV露光装置を保有しています。EUV露光装置はオランダ企業ASMLがほぼ独占状態ですが、imecと共同研究をする関係です。1984年にベルギーのルーベンで若い研究者グループでスタートしました。

imecは最先端技術を開発しており、主要パートナーはアメリカ、台湾、韓国、日本です。Rapidusと協力関係を構築し、日本をサポートするため、パートナーシップの構築をスタートさせました。Rapidusの代表取締役社長の小池淳義氏も、imecとの協働の同意は欠かせないピースと位置づけているのです。

imec社長兼CEO「Luc Van den hove」氏は、日本の半導体に関する力を評価しています。理由は日本の半導体産業は、材料と製造装置の分野で世界中が依存しているからです。高度フォレジスト技術、製造装置でも多くの強力な企業があると考えています。imecとの連携は日本の半導体技術の復権において重要な意味を持ちます。最先端半導体技術開発の加速化が期待されるのです。

プロジェクトの課題

Rapidusとimecとの協力関係の構築、国も巻き込んだ2nmロジック半導体の開発と製造プロジェクト自体は悪くありません。半導体の地政学的なリスクを解消するとともに、日本の半導体産業の復活をかけた一大プロジェクトですが、複数の課題があることも指摘されています。

2nmはロジック半導体のプロセスを立ち上げられるのか?という根本的な問題です。2nmクラスのプロセスの実用化は「やろう」といっても簡単にはできません。実用化するには従来の4nmや5nmとは違うゲート技術が求められるという話もあります。

最先端半導体の構造はFin-FET型からGate-All-Around型に変わろうとしており、量産には高度な生産技術が求められているのです。日本の場合、Fin-FETの経験がほとんどありません。ただ、Fin-FET型だと世界の流れに遅れを取るため、飛び越してGate-All-Around型で2nm型から取り組もうとしています。そのためには普通の取り組みでは対応できません。

そのため国内の大学が連携してLSTC(技術研究組合最先端半導体技術センター)で対応するようです。2nmプロセスの製造自体はIBMが成功しています。日米で合意した次世代半導体の量産化共同開発によりIBMのノウハウを移管される可能性はあるのです。ただ、理想通りの量産化は未知数です。

また予算への懸念もあります。海外では数兆円レベルの投資ですが、日本では700億円で足りるのか?という声も上がっているのです。半導体の製造力を復権するためのプロジェクトには大きな課題が複数横たわっています。

参照元:日経XTECH 22年11月11日(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01537/00559/ )

Rapidus(ラピダス)の最新情報

政府がラピダスに2600億円の追加支援を決定!

2023年4月25日、日本政府はラピダスに対して2600億円の追加支援を決定しました。支援金は試作ラインの基礎工事費用といった目的で使われる予定とされており、さらに政府は今回の支援金は令和5年度分であるとして、今後もラピダスへの公的援助を行う姿勢であると表明しています。

これにより政府からの支援金の総額は3300億円となっており、西村経済産業大臣は同日の記者会見において支援の継続についても減給しました。なお、ラピダス側は5兆円程度の投資が必要という見解を示しており、今後も一層の支援拡大が期待されています。

参照元:Yahoo!ニュース|訂正(会社側の申し出、25日配信の記事)政府、ラピダスに追加支援2600億円、試作ラインの基礎工事(https://news.yahoo.co.jp/articles/544a1e106f4d6f286ad852a7118cff0b86eaea46)

ラピダス千歳工場の建設工事がついにスタート!

2023年4月26日付けの報道により、経済産業省からラピダスへの2600億円の支援に伴って千歳市内でのラピダス千歳工場の建設が着工されたと発表されました。ラピダスは回路線幅2ナノメートルという次世代半導体の量産体制実現に向けて計画を進めており、2025年には試作品の製造に着手したい考えです。また27年には量産への移行も予定されており、計画実現に向けては今後10年程度でおよそ5兆円規模の投資が必要と見込まれています。

参照元:Yahoo!ニュース|ラピダス千歳工場着工へ 10年程度で5兆円規模の投資必要 資金調達、技術確立など課題(https://news.yahoo.co.jp/articles/f2ac46576d251ba236b3bbce98219eb2890bfccb)

ラピダスが異種チップ集積の国内開発をリード!

日本国内では様々な半導体材料メーカーや装置メーカーが存在している一方、それらをまとめて技術開発をリードしていくファウンドリーがOSATの不在が懸念されていました。そこでラピダスは国内の各メーカーをまとめて異種チップ集積の開発をリードしていくために、半導体製造企業などに対してロードマップの提示を目指すことを決定しています。

後工程としてヘテロジニアスインテグレーションに取り組むことも明言されており、5年、10年という長期スパンでの計画が構築されていることもポイントです。

参照元:日経XTECH|ラピダスが異種チップ集積に本気、国内材料・装置メーカーを先導(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02398/00003/)

ラピダスが注目する「異種チップ集積(ヘテロジニアスインテグレーション)」

複数の異なるチップをワンパッケージとして1つにまとめる「ヘテロジニアスインテグレーション(異種集積)」について、ラピダスが日本国内の半導体メーカーを主導して研究開発を進めていくという方針を発表しています。

従来の半導体開発では前工程となるウエハープロセスの微細化に注目が集まっていましたが、技術が進むとともにコストが激増してパフォーマンスとのバランス崩壊が懸念されていました。そこでラピダスは後工程となる異種集積に注目し、事業構想の中でも「次世代の3次元LSI、Nano Sheet GAA技術を日米欧連携で確立」といった文言を明記しています。

参照元:日経XTECH|ラピダスも注目、「異種チップ集積」10の疑問(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02398/00001/)

露光装置パーフェクトガイド

半導体のシリコン基板(ウエハ)などのセンサ・電⼦回路を集約する微⼩電気機械システム(MEMS)をはじめ、⾼精度の電⼦機器の製造⼯程で⽋かせない存在となっている露光装置。量産⽬的、研究開発⽬的に分けておすすめの露光装置を紹介します。