ソルダーレジストとは、プリント基板の表面に塗布された絶縁膜となるインクのことです。
半導体のプリント基板と聞いて、多くの方がイメージするのが緑色のプリント基板でしょう。その緑色のインクがソルダーレジストです。ソルダーレジストを塗布する前のプリント基板は白色で、銅の回路パターンがむきだしになっています。
英語で「solder(ソルダー)」は、はんだづけの「はんだ」を意味する言葉です。一方で、「resist(レジスト)」は抵抗する、耐えるという意味を持っています。
つまり、ソルダーレジストには「はんだに抵抗するもの」という意味合いがあるのです。
ソルダーレジストは、さまざまな呼び方がされています。「半田レジスト」や「グリーンレジスト」、プリント基板を覆うマスクのような役割から「ソルダーマスク」「半田マスク」と言われることも。
また、略して「SR」と表記したり単に「レジスト」と呼んだりする場合もあります。
ソルダーレジストには、以下のような役割があります。
ソルダーレジストには、耐熱性を高めてはんだを弾く「エポキシ樹脂」が配合されています。ソルダーレジストを塗布することにより、レジストが塗られた部分ははんだから弾かれるため、不要な部分に余分な「はんだ」が付着するのを防止します。
プリント基板に余分な「はんだ」があると、ショートしてしまうことがあります。ショートを防ぎ、電子機器を正常に動作させるためにも、ソルダーレジストの塗布は大切な工程です。
ソルダーレジストは、外部環境により回路パターンが影響を受けないよう、保護する役割を果たしてくれます。
基板内にホコリやゴミがあるとショートしてしまう恐れがありますが、ソルダーレジストで保護されていればホコリや湿気などが付着しません。
空気中のホコリやゴミ、湿気からプリント基板を守り、電子機器を長く安定して動作させるためにもソルダーレジストは重要なのです。
近年、電子機器の小型化や小規模化が進み、一般基板の回路パターンは50~150μm程度と細線化しています。パッケージ基板となると、さらなる細線化が求められている現状です。
ソルダーレジストは回路パターン間の絶縁性を維持し、回路パターン間のショートを防ぐ役割も持っています。
ソルダーレジストの塗布方法は、大きく分けて3つあります。
最もポピュラーで安価なソルダーレジストです。液状のエポキシ樹脂をカーテンコーターなどの方法で塗布し、加熱硬化の過程で固体にしたものとなります。
液状のエポキシ樹脂を塗布したあと、写真のネガのように、必要な部分を紫外線露光によってレジストインクを硬化させたものです。熱硬化のソルダーレジストよりも高精度のソルダーレジストとなります。
液状のソルダーレジストではなく、フィルム上の感光剤を真空ラミネーターで貼り付ける方法です。
硬化方法は液状のソルダーレジストと同じで、紫外線露光によって硬めます。
ソルダーレジストの色は緑色が主流となっており、市場での流通量も多い現状にあります。そのため、緑色のインクが最もコスト安で手に入るでしょう。
ただ、特に緑色でなくてはならない理由はなく、ソルダーレジストに緑色以外を使用しても問題はありません。
実際、赤や青、黒、白、黄色など色とりどりのソルダーレジストがあり、自由に選べるようになっています。緑以外のソルダーレジストは基板改良の際、既存基板と区別するために使われたり、LEDや光センサへの反応をよくするために使われたりします。
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