NTTコミュニケーションズは、2024年8月1日に北海道で行われた「HOKKAIDO IOWN CAMPUS」において、NTTが開発を進めている次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」の技術を、半導体製造に活用する方針を発表しました。
発表があった北海道千歳市では、日本の半導体メーカー・ラピダス(Rapidus)が最先端半導体の工場の整備を進めており、IOWNの利用を視野に入れています。
NTTが実用化を目指している次世代通信技術です。半導体内の電子処理を、従来の電気信号から光に置き換える光電融合技術を用いることで消費電力の削減を目指します。
IOWNによる光を中心とした高速大容量通信や、膨大な計算リソースの提供ができる端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想を「IOWN構想」と言い、2024年の仕様確定、2030年の実現を目指して研究開発が進められています。
これまでの電気信号による情報通信システムでは、近い将来、伝送能力と処理能力の双方に限界が訪れると言われています。実際に、日本国内における1秒あたりの通信量は、2026年には20年前の約190倍にも膨らむという推計がされているほどです。
今後のさらなる通信量の増加やネットワークの複雑化、アクセス集中による通信の遅延など数々の課題を解決するには、これまでの情報通信システムを変革し、現状のICT技術の限界を超えなくてはなりません。
高速な光通信による半導体の電子処理を実現するには、半導体メーカーと足並みを合わせることが必要です。
これまでにNTTは、Intelや韓国・SKハイニックスなどの企業と協力し、必要な技術のすり合わせを行うなど、IOWNの実現に向けて着々と準備を進めてきました。
IOWNの技術ロードマップによると、2028年度には伝送容量を従来の125倍、2032年度には消費電力の1/100を達成できる見込みです。
IOWNの実現により、半導体製造におけるデータ流通やアプリケーション動作のプラットフォームの整備が進み、ネットワークやサーバの消費電力が大幅に抑えられるとして注目されています。
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