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2025年に実用化されるダイヤモンド半導体とは

高出力・高耐圧で熱伝導率が非常に高く、究極の半導体材料と称されているダイヤモンド半導体。日本のチームがダイヤモンド半導体の開発に成功して以降、実用化に向けた研究が着々と進められており、早ければ2025年には実用化すると見られています。

ダイヤモンド半導体とは

ダイヤモンド半導体とは、炭素を含んだメタンガスと水素ガスを原料に生成された合成ダイヤモンドを用いて作られる半導体です。

現在、パワー半導体の主流素材はシリコンですが、シリコンと比較しても高温下・高電圧下で稼働できます。

電子機器の小型化や高性能化、そして電気自動車や発電施設、宇宙産業などによる電力需給がひっ迫する中で、より効率かつ小型で、大電力制御ができるパワー半導体が求められてきました。

しかし、従来のシリコン素材のパワー半導体では大幅な性能改善は難しいとされていました。そこで開発が進められたのがダイヤモンド半導体です。

ダイヤモンド半導体は、従来の半導体ではカバーできない領域でも活用できる可能性があるとして期待されています。

なぜダイヤモンドを半導体にできる?

シリコンもダイヤモンドも、ほとんど電気を通さない絶縁体の物質です。シリコンの場合、リンやホウ素といった物質を注入し、電子を生み出して電圧をかける「ドーピング」という技術や素子の表面に不動態膜をコートする「パッシベーション」という技術で電流が流れるようになります。

ダイヤモンドは、以前より高電力に耐えられ、かつ高い周波数で動作できる素材として注目されていましたが、シリコンのようにドーピングやパッシベーションができない問題がありました。

そんな中、嘉数教授のグループが発見したのはダイヤモンドの基板の表面に二酸化窒素を添加する技術です。加えて独自の原子層堆積装置で薄い膜を張る方法も発見し、ダイヤモンド半導体デバイスを作ることに成功しました。

ダイヤモンド半導体の市場規模とは

ダイヤモンド半導体は、ダイヤモンドを含む炭化ケイ素や窒化ガリウムなどのワイドバンドギャップ半導体でみると、巨大な市場規模となっています。

パワー半導体のニーズ増加により、2022年に182億7,100万円だった市場は、翌年の2023年には268億8,500万円にまで成長しました。ダイヤモンド半導体の実用化から5年後の2030年には、3176億1,200万円にまで到達すると見込まれています。

ダイヤモンド半導体の用途

航空・宇宙産業

ロケットや衛星などの精密機器に半導体を使用すると、宇宙空間の放射線の影響による劣化や誤作動が起こりやすくなるため、未だに真空管が使用されている現状でした。

ダイヤモンド半導体は耐放射性に優れているため、高い放射線を浴び続けるロケットや衛星などの航空・宇宙分野で活用できるとして期待されています。

EV(電気自動車)

現在、高性能化が進められている電気自動車分野においても、ダイヤモンド半導体の実用化が期待されています。ダイヤモンド半導体を活用すれば、航続距離の延長や車体の軽量化、充電時間の短縮が可能となります。

過酷環境下での活用

放射線量が高い場所でも稼働できるダイヤモンド半導体は、宇宙空間のみならず、原子力発電における廃炉や新しい原子炉内などの高放射線環境での使用にも適しています。放射線を検知するセンサーやトランジスタへの実装が期待されています。

ダイヤモンド半導体のメリット

ダイヤモンドは、シリコンや炭化ケイ素、窒化ガリウムと比べて高耐圧かつ熱伝導性に大きく優れています。

また、高温な環境下や放射線量の多い場所でも作動できるため、原子力開発分野の廃炉作業での活用も考えられています。

消費電力も削減できるので、高出力かつ省エネ性に優れた半導体として様々な分野で活用される可能性があります。

ダイヤモンド半導体のデメリット

ダイヤモンド半導体は耐圧や熱伝導性などの面では他の素材より優れているものの、非常に硬い素材なため、精密加工や研磨が困難です。基板が大型になるほど、精密な加工や研磨が難しいといわれています。

ただ、技術的開発が着々と進められており、いずれ課題は解消されるものと考えられています。

ダイヤモンド半導体に関するニュース

ここからは、ダイヤモンド半導体関連のニュースを解説します。

佐賀大 世界初の【ダイヤモンド半導体パワー回路】開発に成功

2023年、佐賀大学理工学部の嘉数(かすう)誠教授らグループは、ダイヤモンド半導体パワー回路の開発に世界で初めて成功しました。

ダイヤモンド半導体パワー回路は、10ナノ秒を切る時間で高速スイッチング動作を示し、190時間の長時間連続動作にも特性劣化が見られず、高耐性であると分かりました。

※引用元:佐賀大学プレスリリース (https://www.saga-u.ac.jp/koho/education/2023041729592

ダイヤモンド半導体は2025年に実用可能か?

世界中のメーカーがパワー半導体で炭化ケイ素を超える特性を備えた半導体素子の試作に成功しており、ダイヤモンド半導体の実用化に向けた研究が着々と進められています。

早ければ、2025年にはダイヤモンドのパワー素子製品が市場へ登場すると見られています。

ダイヤモンド半導体が実用化されれば、通信量の膨大化で開発が急がれている5Gのさらなる高度化や通信衛星の半導体化、低消費電力によるカーボンニュートラルの実現に大きく寄与するとして期待されています。

※引用元:NIKKEI Tech Foresight「ダイヤモンド半導体、25年に実用へ 積年の課題が解決」
https://www.nikkei.com/prime/tech-foresight/article/DGXZQOUC28AC00Y3A221C2000000

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