このページでは、露光装置の一種であるマスクレス露光装置の歴史や概要、メリット・デメリットなどを紹介しています。イプロスを参考にスペック比較も行っているので、機器の違いを知りたいという人もぜひ参考にしてみてください。
マスクレス露光装置は、露光パターンジェネレーターにデジタルマイクロミラーデバイスを採用し、フォトマスクの代わりとしてパターン情報をフォトレジストに投影できる装置のことです。CADで作成したパターン情報を直接露光できるため、自由度が高いのが魅力でしょう。
また、マスクを作る時間とコストを削減できるので、試作に対するスループットの向上が期待できます。これまでのマスクが必要な技術とは異なり、試作とテストをスピーディーに実施しなければならない場合にも機敏な対応が可能です。
マスクレス露光装置は、フォトマスクにおける露光負荷がないため、非常に精密な位置精度と線幅制度を実現できるのが強みです。また、逆テーパー型断面形状を採用しているため、スムーズなペースト吐出が可能となり、膜厚バラツキを抑えられます。
その反面、マスクレス露光装置は大量のウエハー処理とデータ量の圧迫を原因として、大量生産で使用するためには今後さまざまな壁を乗り越える必要があるといえるでしょう。
| 露光方式 | ステッパー |
|---|---|
| 波長 | ※公式HPに記載なし |
| 光源 | LEDもしくは半導体レーザー(LD) |
| 解像力 | 1μm |
| 重ね合わせ精度 | ※公式HPに記載なし |
世界発の最小画素1μmを誇るマスクレス露光装置です。グレースケールデータを作成・変更可能なソフトウェアとDMDへ送られたウエアーで構成されており、希望する形状をスピーディーに具現化できます。
光源には405nmのLEDを使用しているため、メンテナンス性の高さも嬉しいポイントです。なお、オプションによって解像力を0.5µmへ変更も可能です。
半導体製造やプリント基板製作などで使用される露光装置は、大きく「マスク露光方式」と「マスクレス露光方式」に分かれます。
両者の最大の違いは、「露光パターンをどのように転写するか」という点にあります。
マスク露光方式では、事前に作成したフォトマスク(原版)を通して光を照射し、そのパターンを基板上のフォトレジストに転写します。大量生産時には同じパターンを何度も繰り返し露光できるため、生産効率が高いのが特長です。その一方で、マスクの製作には時間とコストがかかり、設計変更を行うたびに新しいマスクを作成する必要があります。
一方、マスクレス露光方式はフォトマスクを使用せず、デジタルデータ(CADデータなど)から直接パターンを投影する仕組みです。デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)や液晶シャッターを用いて光を制御し、リアルタイムにパターンを形成します。そのため、試作段階での設計変更に柔軟に対応でき、開発スピードを大幅に短縮できます。
以下のような比較表で整理すると、両方式の違いがより明確になります。
| 項目 | マスク露光 | マスクレス露光 |
|---|---|---|
| パターン転写方法 | フォトマスクを通して露光 | デジタルデータを直接投影 |
| 初期コスト | 高い(マスク製作が必要) | 低い(マスク不要) |
| 設計変更への対応 | 不可(再マスク製作が必要) | 容易(データ修正のみ) |
| 試作・研究向き | △ | ◎ |
| 大量生産向き | ◎ | △ |
| 解像度 | 高精度(マスク品質に依存) | 機器性能により変動 |
このように、マスクレス露光は試作・開発向け、マスク露光は量産向けという住み分けが進んでいます。特に近年は、微細加工技術の発展により、マスクレス露光の精度も向上しており、少量多品種生産にも適用範囲が広がりつつあります。
マスクレス露光装置は、マスクを作成せずにCADデータを直接基板へ転写できることから、柔軟性とスピードが求められる研究開発・試作分野を中心に活用されています。以下に代表的な用途と活用分野を紹介します。
マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の試作では、形状や寸法を頻繁に変更する必要があります。マスクレス露光はデータ修正のみで再試作が可能なため、開発期間を大幅に短縮できます。
また、光学部品やマイクロ流体デバイスなど、微細構造を持つ製品の試作にも多く利用されています。
最終的にマスク露光を行う前段階として、マスクデータの検証用としてマスクレス露光が用いられます。実際のマスクを作る前にパターン形状や寸法を確認できるため、ミスを未然に防ぐことが可能です。
電子回路の開発においても、マスクレス露光装置は小ロット・短納期対応に強みを発揮します。従来のフォトマスク製作が不要となり、1日単位でのパターン修正にも対応できます。
特に、FPCメーカーや大学・研究機関では、新規設計基板の試作に広く利用されています。
医療・バイオ分野では、マイクロスケールの流路を持つチップの作製が求められます。マスクレス露光はパターン変更の容易さと高精度加工を両立できるため、マイクロチップ開発にも適しています。
大学や高専などでは、フォトリソグラフィの基礎を学ぶ教育実験にもマスクレス露光装置が導入されています。安全で取り扱いやすく、設計から露光までを短時間で体験できることから、教育用途としても注目されています。
このように、マスクレス露光装置は「柔軟性・スピード・高精度」を求める開発現場において欠かせないツールとなっています。特に近年は、装置の高解像度化やLED光源の普及により、試作だけでなく小規模生産ラインへの導入も進んでおり、その活用範囲は今後さらに広がると考えられます。