露光装置は、露光方式によってコンタクト露光装置・プロキシミティ露光装置、一括投影露光装置および分割投影露光装置に分けられます。ここでは、投影露光装置について、歴史やメリット・デメリットをご紹介します。
投影露光方式とは、プロジェクション露光方式とも言い、マスクとウエハの間に、投影レンズを入れて投影させる方式のこと。マスクに形成した回路パターンを、レンズを通じてフォトレジストに投影します。投影光学系の違いによって、レンズプロジェクション露光とミラープロジェクション露光の2種類に分けられています。
投影露光方式が登場したのは1973年です。その後70年代後半の3μm~2μmプロセスでは、プロキシミティとともに投影露光方式が主流になりました。
投影露光のメリットは、マスク上に形成されたパターンが、レンズを介してウエハ上に転写されるため、マスクとウエハが接触せず、感光性材料の一部がマスクに転移して転写欠陥となったり、マスクやウエハに傷がつくことがない点です。
また、マスクとウエハの間に投影レンズを入れることで、ワーキングディスタンスとある程度の焦点深度を確保できるため、露光のためのセッティングが簡単です。光学系のピント合わせに問題のあるプロキシミティ方式に比べると、しっかりピントを合わせられ、解像度が格段に向上。露光フィールド内のパターンの線幅・形状のばらつきが少ない点もメリットでしょう。
ただし投影露光方式でフラットディスプレイ用などの大寸法のガラス基板、プラスチック基板、銅箔付きプラスチック基板、スクリーン印刷用のスクリーン、金属シートなどの大面積に露光する場合、一括露光ではウエハと同じ大きさの大露光フィールドを持つ投影レンズが必要となり、保持や使用環境などを考えても極めて高価な点がデメリットかもしれません。
マスクとウエハの間に、投影レンズを入れて投影させる投影露光装置。プロキシミティ露光に比べて解像度が高く、線幅・形状のばらつきが少ない露光を行うことができます。初期費用が高く、大面積への露光には難がありますが、マスクが半永久的に使える点や、歩留まり・稼働率が高いため、高精度な露光装置をお求めの方におすすめです。
半導体のシリコン基板(ウエハ)などのセンサ・電⼦回路を集約する微⼩電気機械システム(MEMS)をはじめ、⾼精度の電⼦機器の製造⼯程で⽋かせない存在となっている露光装置。量産⽬的、研究開発⽬的に分けておすすめの露光装置を紹介します。