アメリカ政府は、中国の軍事力強化につながり得る半導体の最先端技術の獲得を阻止することを目的に、同盟国の協力を仰ぎ中国への半導体規制を厳しくする姿勢を強めました。
バイデン政権は、中国への半導体技術の流出を防ぐため、さらに厳しい貿易制限措置を検討しています。
特に、東京エレクトロンやオランダのASMLホールディングスなどの企業が中国に先端半導体技術を提供し続ける場合、最も厳しい制限を課す可能性があると同盟国へ警告しました。
アメリカは、日本とオランダの当局者に対し、中国に対する規制措置を強化しない場合、FDPRの適用を強化する可能性が高まると伝えています。
FDPRとは、アメリカ以外の外国企業が作った製品でも、アメリカが規制対象に定めたアメリカ産ソフトウェアや技術を使った製品の場合、米国政府が輸出を禁止できるようにした制裁条項です。
これにより、半導体製造装置を生産する東京エレクトロンやASMLの中国での事業に大きな影響を与える可能性があります。
報道を受け、2024年7月17日の東京株式市場では東京エレクトロンの株価が7.5%下落、アムステルダム市場においても、ASML株が11%安となり売買が停止される事態となりました。
アメリカは、2022年10月に中国への先端半導体と製造装置の販売に広範な制限を課し、その1年後には措置を強化しました。
しかし、この政策でアメリカの企業も多額の売り上げを失っている現状です。
アメリカのアプライド・マテリアルズやラムリサーチ、KLAなどの半導体製造装置大手は、現在の貿易政策はアメリカ企業に損害を与えているだけで、期待したほどの成果は得られていないと主張しています。
中国の半導体産業に対する共同戦線の試みが続く中、今後の政策動向が注目されるところです。
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