キヤノンは、市場における半導体の先端パッケージの需要増加の流れを受け、半導体後工程向けのi線露光装置を増産する計画であることを発表しました。
2025年にはi線露光装置の生産台数を最大80台規模に増やす計画で、2024年度と比べて倍増する見通しです。
昨今、市場におけるAI(生成人工知能)半導体の需要は高まる一方です。IT大手などは続々とサーバーへの投資を増やしており、世界的な半導体メーカーの台湾TSMCも、高密度実装が必要なAI半導体の製造能力を増強しています。
半導体の高密度化で先行しているキャノンは、AI半導体の後工程において今後も高まるであろう需要を取り込み、流れに乗りたい構えです。
AIサーバーで使われるデバイスの後工程では、メモリやロジックなど複数のチップを組み合わせて高密度化した先端パッケージの技術が求められます。
アメリカのNVIDIAなど、高性能コンピュータの一部にはすでに後工程技術が適応されており、AI半導体においても高密度化を実現する露光装置に注目が集まっています。
キャノンは、半導体製造装置の主力生産拠点となる新工場を栃木県・宇都宮市に建設中で、2025年から稼働する予定です。
半導体の後工程に加え、今後も需要の高まりが予測されているパワー半導体向けの露光装置を新工場で増産すると見られています。
台湾の調査会社「トレンドフォース」の予測によると、2026年のAIサーバーの市場規模は236万台を超えるという結果が出ました。これは2022年に比べて2.8倍にもなる数とされています。
AIサーバーの普及に伴い、高性能な半導体の需要はますます拡大する見込みです。半導体メーカーにとっては、さらなる生産性の向上が重要な課題になると考えられます。
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