モールディングは、前工程のワイヤボンディングが終了したICチップをエポキシ樹脂などで封止・封入する工程です。非常に繊細で衝撃に弱い構造をしているICチップをエポキシ樹脂などで固めて、物理的衝撃や汚染・水分による酸化などから守るための工程となります。
モールディングにはさまざまな種類がありますが、大きく分けると「気密封止」と「非気密封止」の2つに分類されます。
気密封止はICチップを外部気体や液体から完全に隔離・密閉する方法です。信頼性は高いものの、高コストなのが難点。もう一方の非気密封止はICチップを外部気体や液体からある程度隔離する方法です。大気中の水分などを完全に排除することはできませんが、安価で生産性が高いことから、現在のモールディングは主に非気密封止が用いられています。
特に非気密封止に該当する金型モールド法が主流となっています。金型モールド法は金型にICチップを設置して溶融樹脂を流し込み、硬化させる方法です。金型モールド法には、溶融した樹脂を流し込んで硬化させる「トランスファー方式」と溶融した樹脂にチップを浸して硬化させる「コンプレッション方式」があります。
モールディング装置に一般的に用いられている方式です。フェイスアップ方式では、ワイヤボンディング後のチップを搭載したリードフレームを金型に上向きに置くのが特徴で、上の金型の穴から溶融した樹脂を注入し、上下の金型に圧力を加えることで硬化させます。
近年主流となっている1000ピン以上・100µm以下のピッチの接続ワイヤは、溶融した樹脂を供給する際に流速や樹脂に柔らかさがないと、ワイヤ同士のショートが発生。また、硬化後に空乏(ボイド)が発生するとワイヤが切断されるなどの不具合が起こるため、最適なエポキシ樹脂と装置を組み合わせる必要があります。
フェイスダウン方式は、下金型に顆粒状の樹脂を広範囲にばらまいて、溶融直前に対象部を樹脂に浸して封止する方式です。ウエハや製品のなかにはフェイスアップ方式では対応できないものもあるため、そういった場合はフェイスダウン方式でモールディングが行われます。
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