YMTCは中国のNAND専業メーカーです。台湾の調査会社「TrendForce」によると、YMTCが2024年までに3DNAND市場から撤退する可能性が出てきました。理由は、米国商務省のエンティティリストに記載されたことです。
米国商務省のエンティティリストとは、貿易での取引制限リストで、特定の外国人や団体が記載されます。エンティティリストに含まれると、YMTCはアメリカから製造装置や技術や関連商品の輸出や再輸出、販売関連について個々の取引がライセンス制となりました。
ライセンス制といっても許可される可能性は低く実質的な制裁です。YMTCはアメリカから製造装置や技術サポートを受けるのが困難になります。長期的に続けば当然、ビット出荷数量のアップはむずかしくなるのは必然。結果、3DNAND市場では存在感が薄れるだけになります。
TrendForce では中国以外のNAND購入者に広がる懸念を感じ取っているようです。あるアメリカのスマホブランドは、YMTCからモバイルストレージの調達をストップしました。PC OEMも、YMTCのクライアントSSDの認定までの採用プロセスをストップしています。
エンティティリストの影響は大きく、TrendForceは、いずれYMTCは中国本土だけで活動できるレベルに制限されるのではないかと見ています。また、技術開発の点でも厳しい状況になるため、シェアを拡大したくてもできず機会を喪失することになると見ているのです。
TrendForce は、YMTCはますます厳しい状況になると予測しています。アメリカが輸出管理規制範囲を拡大した場合、DUV露光装置をはじめとした製造装置が手に入らなくなるリスクです。オランダや日本のメーカーがアメリカの制裁措置に参加する可能性は否定できません。
YMTCの競合は複数あります。必要な製造装置や技術を取得できなければ、YMTCは死活問題ですがどうしようもできない状況です。競争力がなくなれば上場廃止の可能性さえあります。
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