IEDM(International Electron Devices Meeting)は、半導体および電子デバイス技術に関する世界有数の国際会議であり、毎年12月に開催されています。この会議は、1954年の創設以来、半導体業界の技術革新をリードする場として機能しており、最先端の研究成果が集約される重要なイベントです。IEDMの目的は、研究者やエンジニアが一堂に会し、情報を共有し、新たな技術の可能性を模索することです。
特にIEDMは、デバイス技術に関する基礎研究から応用技術まで幅広い分野をカバーしており、以下のようなトピックが毎年議論されています。
2024年のIEDMは、その70周年を記念する特別な年となり、「明日の半導体技術を形成する」というテーマのもと、12月7日から11日まで米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催されました。
2024年のテーマ「明日の半導体技術を形成する」は、AI(人工知能)、パワーエレクトロニクス、先端パッケージング技術といった現在の技術課題を包括的にカバーする内容です。このテーマは、技術的な課題解決を通じて次世代の社会を支える技術を創出するという使命を反映しています。
このテーマの背景には、以下のような産業的・社会的課題があります。
TSMC(台湾積体電路製造)は、世界最大の半導体受託製造会社として、業界をリードする存在です。同社の副社長兼共同COOであるY-J. Mii氏は、「半導体産業の将来展望と新たに開拓する技術」というタイトルで講演を行いました。
AMD(Advanced Micro Devices)は、高性能なCPUやGPUの開発で知られる企業です。上級副社長のMark Fuselier氏は、「エネルギー効率の高いアーキテクチャでAIを進化させる」というテーマで講演しました。
Wolfspeedは、SiC(シリコンカーバイド)技術に特化した企業で、電力変換デバイスの分野で革新を起こしています。CTOのElif Balkas氏は、「持続可能なソリューションを目指し、SiCを用いてパワーエレクトロニクス革命を起こす」というテーマで講演しました。
TSMCが発表した2nm CMOS技術は、業界をリードする革新技術であり、以下の特徴があります。
Intelは、原子レベルの薄さを実現した2Dトランジスタ技術を発表し、以下のような特徴が注目されました。
キオクシアの発表では、酸化物半導体をチャネルに用いたDRAM「OCTRAM」が紹介されました。
IEDM 2024は、763件の論文投稿があり、そのうち274件が採択されました。参加者数は2,160名で、前年から約240名増加しました。地域別では以下の特徴がありました。
IEDM 2024では、AI技術やパッケージング技術が半導体業界の未来を形成する鍵であることが示されました。特に、持続可能な社会への貢献が、業界全体の使命として共有されています。
次回IEDM 2025では、さらに革新的な技術発表が期待されており、半導体業界における新たなマイルストーンを刻むことが予想されます。この会議は今後も技術革新の中心的存在として、多くの注目を集め続けるでしょう。
関連ページ
半導体のシリコン基板(ウエハ)などのセンサ・電⼦回路を集約する微⼩電気機械システム(MEMS)をはじめ、⾼精度の電⼦機器の製造⼯程で⽋かせない存在となっている露光装置。量産⽬的、研究開発⽬的に分けておすすめの露光装置を紹介します。