SiCパワー半導体とは、ケイ素(Si)炭素(C)の化合物で構成された炭化ケイ素(SiC)を主な材料とする半導体です。
従来、EV(電気自動車)や電子機器には、シリコン(Si)パワー半導体が主に使われていました。SiCパワー半導体はシリコン半導体よりも電圧や電力への耐性が高く、電力コントロール機器の動作を効率化できる、また、エネルギーの損失が少なく、放熱機構の小型化や簡略化を実現できます。
このような特性から、次世代の電子機器やEV向け半導体としての活躍が期待されています。
SiCパワー半導体は、従来の半導体よりも電圧や電力への耐性が高く、高い動作温度にも耐えられます。また、シリコン半導体と比べて電気抵抗が生じるところの厚さが1/10で済む、エネルギーが放出される際に発する熱を抑えられるため、電力をコントロールする際のエネルギー損失が少なくなります。それによって、電力をコントロールする機器の動作効率が良くなるメリットがあります。
シリコン半導体を使用している箇所にSiCパワー半導体を用いることで、電子機器のさらなる小型化や高効率化が実現します。
従来のシリコン半導体は、自動車だけでなく産業機器や鉄道、電力、家電など、幅広い分野で使われていました。ただ、シリコンを主材料とする半導体の場合、これ以上の性能向上は難しいと考えられていました。
電子機器を効率化し、小型化できるSiCパワー半導体が開発されたことで、これまでのシリコン半導体からSiCパワー半導体への置き換えが進んでいます。
市場は年々着実に増加しており、今後も市場の拡大が見込まれています。株式会社富士経済の市場予測によると、2030年には9,694億円に及ぶとの見込みです。
SiCパワー半導体の需要が大きく拡大すれば供給が拡大して低価格化も進み、シリコン半導体からの置き換えがさらに進むとの予想がされています。
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