露光装置は1台で数千万円〜億単位の投資になるため、「補助金や税制優遇を使えないか」と考える設備担当者は少なくありません。
結論からいえば、露光装置の導入・更新は、国の設備投資向け補助金や税制の対象になり得ます。
ただし、どの制度も「露光装置だから使える」のではなく、生産性向上・省力化・省エネなど、制度ごとの目的に沿った投資計画になっているかで判断されます。
この記事では、露光装置の導入で検討したい主な補助金・税制と、申請前に押さえておきたい注意点を解説します。
この記事のポイント
露光装置そのものを名指しした専用の補助金は一般的ではありませんが、製造業の設備投資を幅広く支援する制度の中で、露光装置を「機械装置」として計上できるケースがあります。
たとえば、次のような投資目的であれば、各制度の趣旨と結びつけやすくなります。
一方で、補助金は「申請すれば必ずもらえる」ものではなく、審査による採択制です。
また、賃上げなどの要件を達成できなかった場合に、補助金の一部返還を求められる制度もあります。制度の要件を満たせる事業計画かどうかを、装置選定と並行して検討することが大切です。
2026年10月時点で公開されている情報をもとに、露光装置の導入で候補になりやすい制度を整理しました。
| 制度名 | 主な目的 | 補助上限・優遇内容 | 補助率など | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| ものづくり補助金 (製品・サービス高付加価値化枠) | 革新的な新製品・新サービスの開発 | 従業員規模に応じて750万〜2,500万円(大幅賃上げ特例で上乗せあり) | 中小企業1/2、小規模事業者2/3 | 新製品の試作・量産化に向けた露光工程の導入 |
| 中小企業省力化投資補助金 (一般型) | 人手不足の解消に向けた省力化投資 | 従業員規模に応じて750万〜8,000万円(大幅賃上げ特例で最大1億円) | 中小企業1/2、小規模・再生事業者2/3 | オーダーメイド設備の導入による工数削減・自動化 |
| 中堅・中小成長投資補助金 | 地域の賃上げにつながる大規模な成長投資 | 最大50億円 | 1/3 | 工場・ラインの新設を伴う大型投資 |
| 省エネ補助金 (省エネルギー投資促進支援事業費補助金など) | 工場・事業場の省エネ | 事業区分により異なる(設備単位型は上限1億〜3億円) | 事業区分により1/3〜1/2以内など | 既存設備の更新で消費電力を削減する投資 |
| 中小企業経営強化税制 | 生産性向上設備の取得の後押し | 即時償却、または税額控除7%(特定中小企業者等は10%) | ―(税制) | 補助金と組み合わせて税負担を軽くしたい場合 |
※金額・要件は公募回や年度によって変わります。申請を検討する際は、必ず各制度の公式サイト・最新の公募要領を確認してください。
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。中小企業が革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を行う際の設備投資などを支援する制度で、製造業の設備導入では最もよく知られています。
2026年は第23次公募が実施されました(申請締切は2026年5月)。次回以降の公募時期は、公式サイトで最新情報を確認しましょう。新製品の量産に向けて露光工程を立ち上げる場合など、「新しい製品・サービスを生み出す取り組み」として説明できる投資と相性がよい制度です。
人手不足に悩む中小企業が、省力化につながる設備・システムを導入する際に使える制度です。一般型は、カタログに登録されていないオーダーメイド(セミオーダーメイド)の設備も対象になるため、仕様を個別に決めることが多い露光装置とも組み合わせやすいのが特徴です。
| 従業員数 | 補助上限(通常) | 大幅賃上げ特例時 |
|---|---|---|
| 5名以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20名 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50名 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100名 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101名以上 | 8,000万円 | 1億円 |
基本要件として、労働生産性の年平均成長率4%以上、1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上などが求められます(令和8年度)。露光工程の自動化や段取り時間の短縮、装置停止の減少による工数削減など、「人の手間がどれだけ減るか」を数値で示せる更新投資で検討したい制度です。
地域の雇用を支える中堅・中小企業が、人手不足などの課題に対応しながら成長するための大規模投資を支援する制度です。補助上限は50億円、補助率は1/3と規模が大きい一方、投資額の下限や賃上げに関する要件が設けられています。
露光装置単体の更新というよりは、新工場の建設や生産ラインの新設・大幅増強の中に露光工程が含まれるような大型案件で候補になります。2026年は第6次公募が7〜8月に実施されました。
工場・事業場の省エネにつながる設備更新を支援する制度です。事業区分は「工場・事業場型」「電化・脱炭素燃転型」「設備単位型」「エネルギー需要最適化型」に分かれています。
露光装置が指定設備に含まれるかどうかは年度・区分によって異なるため、公募要領での確認が必要です。光源の変更や装置更新で消費電力をどれだけ減らせるかを、更新前後の数値で示せることが申請の前提になります。
補助金ではなく税制優遇ですが、露光装置のような高額設備では効果が大きい制度です。経営力向上計画の認定を受けて、対象となる設備を取得・事業供用した場合に、次のいずれかを選べます。
機械装置は1台160万円以上が対象で、適用期限は2027年(令和9年)3月31日までに取得・事業供用した設備です。生産性が年平均1%以上向上する設備(A類型)であれば、メーカーなどを通じて工業会の証明書を取得する流れになります。設備を取得する前に計画の認定を受けておくのが原則なので、発注前に手続きを始めましょう。
露光装置は、方式や対応基板、量産・研究の別によって価格帯が大きく異なります。量産向けの投影露光装置では、1台で億単位になることも珍しくありません。投資規模ごとに、検討しやすい制度の目安を整理しました。
| 投資のイメージ | 検討しやすい制度 | 考え方 |
|---|---|---|
| 研究開発用・小規模な露光装置の導入 | ものづくり補助金、経営強化税制 | 新製品開発・試作の取り組みとして計画を組み立てる |
| 量産ラインの露光装置の更新(数千万〜億単位) | 省力化投資補助金(一般型)、省エネ補助金、経営強化税制 | 工数削減・停止時間の削減・消費電力の削減を数値で示す |
| 新工場・新ラインの立ち上げ | 中堅・中小成長投資補助金、経営強化税制 | 露光工程を含むライン全体の投資計画として申請する |
補助金は上限額が決まっているため、高額な露光装置では「投資額の一部を補助してもらう」位置づけになります。補助金だけでなく、税制優遇や導入後のランニングコスト削減も含めた総額で投資効果を考えるのが現実的です。
多くの補助金では、交付決定を受ける前に発注・契約・支払いをした経費は補助の対象になりません。露光装置は納期が長くなることもあるため、「装置の選定」と「申請スケジュール」を同時に組み立てることが重要です。
申請時には、導入する設備の仕様や見積書が必要になります。複数メーカーから見積もりを取る場合も、対応基板やウエハサイズ、必要な解像度などの条件をそろえておくと比較がスムーズです。
ものづくり補助金や省力化投資補助金では、賃上げに関する目標が要件に含まれています。達成できなかった場合に補助金の一部返還を求められることがあるため、事業計画の実現可能性を社内で十分に検討しておきましょう。
補助金は公募回ごとに締切や要件が変わります。導入時期が決まっている場合は、利用したい制度の公募がいつあるかを早めに確認し、必要に応じて認定支援機関などの専門家にも相談すると安心です。
補助金の審査では、「その設備を導入すると、生産性や省力化、省エネの効果がどれだけ出るのか」が問われます。装置選びの段階で、次のような点を数値で説明できるかを確認しておくと、事業計画を作りやすくなります。
メーカーや販売会社によっては、比較資料や試算の材料を用意してくれることもあります。見積もりを依頼する際に、補助金の申請を検討していると伝えておくとよいでしょう。
露光装置の導入・更新には、ものづくり補助金、中小企業省力化投資補助金(一般型)、中堅・中小成長投資補助金、省エネ補助金、中小企業経営強化税制などが候補になります。いずれの制度も、生産性向上・省力化・省エネの効果を数値で示すことが求められ、原則として交付決定前の発注は対象外です。
補助金の活用を考えるなら、装置選びの段階から「ランニングコスト」「停止時間」「消費電力」をどれだけ改善できるかを比較しておくことが近道です。制度の最新情報を確認しつつ、投資効果を説明しやすい露光装置を選びましょう。
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